8月9日に公開されたクレヨンしんちゃんの新作映画『オラたちの恐竜日記』。今作も、野原家の“家族愛”は健在のようだ。

「ローンが32年残っている野原家を、恐竜に踏み潰されて男泣きするひろしの姿にクスリ。家族を第一に考え、どんなときも、一家の大黒柱らしく振る舞う彼の姿は、まさに父親の鑑でしたね」(映画ライター)

 今や家族思いで優しい父の代名詞にもなった野原ひろし。作中では、安月給を妻・みさえに罵られながら、35年ローンに喘ぐ“普通のサラリーマン”だが……。

映画で恐竜に襲われた、『クレしん』発行元の双葉社本社 ※撮影/編集部
映画で恐竜に襲われた、『クレヨンしんちゃん』発行元の双葉社本社 ※撮影/編集部

 令和の時代では彼のような甲斐性を見せるのはかなり難しい、そう分析するのは『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)の著者でもある高山一恵氏だ。

「首都圏内で専業主婦と子供2人を養う家族構成は、このご時世ではかなりシビア。バブルの当時でさえ、実はかなりの有望株だったのではと予想しています」(高山氏=以下同)

 では、ひろしはハイスペックか否か。当時の情勢を令和に置き換え、仕事と保有資産の2視点から、彼のスペックを判断していこう。

 ひろしは、商社「双葉商事」に勤務。高校卒業後、秋田から上京して入学した大学を中退したため、35歳で勤続15年という経歴だが、その推定年収は600万円と高収入だ。

「バブル期当時、高校卒業後に公務員になったり、財務省などの省庁で勤務したり、大手メーカーに入社したりと、高卒社員はそこまで珍しい話ではありませんでした」

 その中でも、ひろしの昇進スピードには目を見張るものがあると、高山氏は続ける。

「現代社会でも、係長になるのは平均45歳に対し、ひろしは30代前半。映画『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 〜サボテン大襲撃〜』(2015年)では海外赴任も任されていますし、出世頭なのは間違いない。また、商社の年収は今なら900〜1000万円ほどになります。600万円超えは社会人男性の約3割と言いますし、彼は間違いなくハイスペックです」