■『光る君へ』と視聴者の関係は深い

 これまで、サスペンスと恋愛の要素が強かった本作だったが、次回から、まひろは宮仕えの身に。藤壺でさまざまなトラブルや人間関係のゴタゴタに巻き込まれることが予想され、お仕事ドラマのテイストが強くなりそうだ。

 また、まひろにかまってもらえず、寂しい思いをしている娘・賢子(福元愛悠/7)との親子関係も気になるところで、家族ドラマとしての側面も描かれそうだ。サスペンス、恋愛、お仕事、家族と、現代に通じるドラマ要素がすべて入っており、これで面白くならないわけがない。

 しかも、これらを1年かけて描くという贅沢さ。これは大河ドラマであればこそで、視聴者はゆっくりと登場人物の人生を見ることができる。ある意味、成長を描くドラマであり、それだけ視聴者の作品に対する思い入れは強くなる。X上で《ズルくて悪い、イイ男になったねぇ》などと、道長の成長を見守る声もあるが、それも納得だ。

 ジワジワと静かに、しかし確実に盛り上がってきている『光る君へ』。視聴者はもはや本作の伴侶といえる。ここから先の後半戦、視聴率が上がることはあっても、下がることはそうないだろう。『どうする家康』超えは、十分にあるだろう。(ドラマライター/ヤマカワ)