■『きぬた歯科』を真似た看板は著作権的には…
羅田院長が憤る看板騒動。法的な問題点はあるのだろうか。弊サイトはコンテンツの不正利用などに詳しい河野冬樹弁護士に聞いた。
「まず、『きぬた歯科』さんの看板が、著作物と認められるのに必要な創作性が認められるほど特徴的かと聞かれれば疑問です。看板は、院長の顔写真が大きく掲載された上で背景がカラフルな色で彩られている。これ自体を珍しいデザインと指摘できるか、となると答えは“ノー”ではないでしょうか。
また、屋外看板は目立つ色とデザインを採用する必要があります。限られたスペースや場所に設置する物ですので、似たデザインになるのは避けられないのでは」(河野弁護士)
また、鉄道模型のグッズとして看板が採用されていることも『きぬた歯科』には不利に働きかねないそうだ。
「鉄道模型ファンが沿線風景を再現するためのグッズとして、看板は売られているわけです。つまりは、それだけ『きぬた歯科』の看板がありふれたデザインと法的には解釈される可能性もあるでしょう」(前同)
『きぬた歯科』が他の歯科医院の看板に対して「法的に対処するのは難しいのでは」と話す河野弁護士。さらに、河野弁護士はこう続ける。
「『きぬた歯科』さんが、オリジナリティがないと他の医院の看板を批判するのは問題ないと思います。一般的には他者を著作権侵害呼ばわりするなどすれば名誉棄損になる恐れもありますが、今回は、著作権という言葉も使わず、“オリジナリティがない”との評価を述べているにすぎませんし、それ自体は自由な言論の範囲内だと思いますので」(同)
作品や商品のデザインの“類似問題”はたびたび起こることだが、今回の件は今後どのような展開を見せるのだろうか――。