■群像劇の作風――目黒が目立たない形に

『海のはじまり』の第9話は、切ないストーリーや目黒と有村の演技に“泣ける”、と好意的な声が多く寄せられている。

 だが一方で、本来の主演である目黒以上に有村が主演かのように目立った構成には、視聴者から疑問の声も多く、

《主人公は夏君なはずなのに、弥生ちゃんにしか目がいかんし、弥生ちゃんの心配しかしてない》
《もーほんと今夜9話で弥生メインなの終わって。主演:有村架純でしかない》
《ほんとにほんとにこのドラマ、目黒蓮が主役なんですよね⁈最後まで見届けるけど!!見守るけど!!!納得できない終わり方だったらどうしよ》

 といった声が、多く寄せられているのだ。

※画像は『海のはじまり』の公式X『@umi_no_hajimar』より

「有村さんは今回だけでなく、第3話でも “こっちが主演みたい”という声が出たこともありましたね。それは、1話まるまる弥生の過去を掘り下げる内容だったからですが。

『海のはじまり』は、“第2の『silent』”と期待されていた割にはリアルタイムの視聴率がかなりイマイチなことが指摘されています。がんや中絶などを扱うシリアスな内容であることなど、視聴率が伸び悩む原因はいくつかあるでしょうが、その1つには、メイン以外のキャラの掘り下げが長すぎて、本来の主演である目黒さんの活躍が少ない、ということが言えそうです」(制作会社関係者)

 現在、テレビ界は13~49歳のコア視聴率を最重要視している。『silent』は5%台を出す大ヒット作だったが、『海のはじまり』は第8話(8月19日)が2.1%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)と、半分以下の状態にある。

「『海のはじまり』は夏(目黒)を中心とした群像劇的な作風です。今回の有村さんだけでなく、夏の元恋人・古川琴音さん(27)、元恋人の母・大竹しのぶさん(67)、元恋人を支え続けた池松壮亮さん(34)といった超実力派俳優が演じるキャラを、1話まるまる使って掘り下げる回が多かった。

 特に前半の主人公の夏は近くにいて見守っている場面の方が多く、夏が我慢し続けてきた本音をようやく吐き出したのも、第8話とかなり遅かったんですよね」(前同)

 そんな苦戦する『海のはじまり』の一方で、『silent』は空前の大ヒットを記録したのだが、

「やはり、当時は世間的な認知度がまだ低かった目黒さんの、主人公(川口)の相手役としての圧倒的な存在感が大きかったですよね。ヒットの要因は、新星のイケメン俳優・目黒蓮の大活躍、まばゆい輝きがあったからに他ならないでしょう。既存のファン以外の女性層もメロメロにしたからこそ、ドラマは社会現象級のヒットとなったと考えられます。

 そして、そんな『silent』ファンの多くが、同スタッフが再集結し、目黒さんが主演する『海のはじまり』に、彼の活躍を期待していた。しかし、ドラマが丁寧に描かれている一方で、目黒さんの活躍の場は少なく……『silent』でのような目黒さんの輝き、存在感を期待した人が満足できるものではなかった、ということではないでしょうか」(同)

 第9話で主人公の夏は弥生との破局を経て、海の父親になる覚悟を本当の意味で決めた。大竹演じる元恋人の母親で海の祖母である朱音に頭を下げ、「2人で暮らしたいと思ってます。一番大切にします」と頭を下げるシーンで第9話は終わり、次回予告も、夏があらためて海の思いに向き合う内容となっていた。

 事前に大きな期待感があった『海のはじまり』は、残すところあと3話。目黒が主演の物語として、ここから巻き返せるか――。