九州南方海上、鹿児島県と沖縄本島の中間に位置するのは鹿児島県奄美群島だ。その中心となる奄美大島は、豊かな自然環境と島特有の固有種で知られる。この島が、大きな注目を集めたのは9月3日のことである。

「環境省は、外来種であるマングースが島から根絶された、と発表したのです。沖縄本島から奄美大島へマングースが持ち込まれたのは1979年のこと。島民を噛むなどして、健康被害を与えていた固有種である毒蛇ハブを退治する目的で持ち込まれました。しかし、マングースは昼行性。かたやハブは夜行性です。マングースがハブを襲うことはなく、島内の希少種であるアマミノクロウサギやケナガネズミを襲い始めたのです」(夕刊紙記者)

 外来生物であるマングースに次々と襲われる島固有の絶滅危惧種たち。国も黙って見過ごすわけにはいかない。2000年頃からは、本格的に環境庁(現・環境省)と鹿児島県が駆除作業へと乗り出すことになる。05年には「駆除のプロ」集団である「奄美マングースバスターズ」が、12名のメンバーで島内で結成。07年にはニュージーランドから探索犬まで導入された。

「2000年には1万匹いたマングースが、20年には10匹以下に。そして、ついに根絶に至ったわけです」(前同)

 島から根絶された外来種であるマングース。その一方で、当初の根絶対象であったはずの毒蛇ハブはどうなったのか――。鹿児島県の奄美市・名瀬保健所の担当者に話を聞いた。

「ハブの生息数は現在10万匹とも言われています。残念ながら、島内での数が減っているという話は聞きませんね。ただし、平成元年(89年)頃は年間50名ほどの方がハブに噛まれていましたが、現在は20名ほどにまで減少しています」