■県内では自転車乗車時のヘルメット着用を呼び掛ける啓発CMも放送

 県内の全高校の学校校則に自転車乗車時のヘルメット着用が記載されたことで、高校生のヘルメット着用率は100%に。それで自転車乗車中に愛媛県民がヘルメットを着用する割合もグンと上がったわけである。

「一方で、県内を歩いていても大人の人や高齢者の方の自転車乗車時のヘルメット着用率は低いなと肌で感じます。昨年は県が自転車の安全利用促進条例を施行して10周年。そのため、『えひめ自転車交通安全CMコンテスト』を開催。大人もヘルメットをかぶろう部門を設置し、作品を募集し、優秀作品はCM化してテレビCMとしても放送しました」(前出の愛媛県の担当者)

 愛媛県が自転車乗車時の県民のヘルメット着用率を上げようとするのには、大きな理由があるそうだ。

「広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶしまなみ海道は、サイクリングの一大名所。自転車での利用者は年間およそ34万人です。自転車が観光産業に大きく貢献している以上、安心・安全に県民の皆さんには自転車を利用してもらいたいという思いがあります」(前同)

 23年9月に発表された愛媛県内の自転車利用者のヘルメット着用率は59.9%。今年はその数字から更に9.4%も上昇している。

「県警さんの方でも小中学校を中心に交通安全教室を行なっていて、自転車乗車時のヘルメット着用に関する啓発活動を続けています。地道な活動が数字に結びついているのではないでしょうか」(同)

 全国にある他の自治体からも、県民の自転車乗車時のヘルメット着用率の高さに関する問い合わせが相次いでいるという愛媛県。みかんや魚が美味しい、風光明媚な海道を持つ県から、自転車乗車時にヘルメットを被る習慣は広がっていくだろうか。