10月を目途に、高齢者などを対象とする新型コロナウイルスのワクチン定期接種が始まる。
コロナ第11波も続く中、本サイトには「コロナワクチン未接種で感染1回」という記者がいた。
「感染したのは2020年秋頃。都内ではまだ1日の感染者数が十数人の頃でした。40度を超える熱が2日続き、味覚も塩味しか感じられなくなっていました。ワクチン接種が始まった頃は、“1回感染しているから”って、そのまま打たずにいました」(本サイト記者)
本稿読者の中にも、様々な事情からワクチン未接種の方もいるだろう。
そこで今回、ワクチン未接種の人の抗体レベルはどの程度なのか、医療機関で血液検査をしてもらい調査をした。
「血液中に抗体がどのくらいあるか、という検査でした。結果で分かった数値は、抗体の基準値0.9に対して、私はその約40倍の数値でした」(前同)
検査の結果について、記者の担当医はこう話す。
「今すぐにワクチンを接種したほうが良い、というような数値ではないですが、抗体価が高くても、その時の体調や、ウイルスの種類によっても、感染は左右されるので安心はしないでください」
■ワクチンを接種しても抗体が追いつかない場合がある
この数値について、新潟大学の名誉教授で予防医学の専門家の岡田正彦氏はこう解説する。
「新型コロナウイルスは変異が激しいので、たとえ抗体価が高く、ワクチンを打っていたとしても、どんどん変異していくウイルスのスピードに、抗体が追いつかないんです」
さらに岡田氏は、近年のワクチン事情についてこう続ける。
「調べてみると、ワクチンを打った人のほうが、コロナに感染しやすいというデータがあることも分かってきました。ワクチンは効能が強すぎて、元からある人間の免疫システムが疲弊してしまったり、変異種に感染した際に対応する免疫の働きが抑え込まれてしまうという事が分かってきたんです」
変異し続けるコロナウイルスに対し、日頃どういったことに気をつけていけばいいのだろうか。
「手洗い、マスク、ソーシャルディスタンスを守るという、基本的なことを続けていく事が大事ですね。これは、何十年も前から人間が知恵として持っていたものです。一方でコロナは弱毒化しているので、重症化しづらく、考えすぎてナーバスにならないようにすることも、日常生活送る上で大事ですね」(前同)
最後に岡田氏はこう忠告する。
「これから起きる様々な未知の危機に対して、テレビや政治家等が言っていることをあまり鵜呑みにしすぎず、自分で考えて調べることが大事です。人間は危険な状況のときなど、危機察知の本能があります。まずは、その本能を信じることですね」
迫るコロナワクチンの定期接種。いずれにせよ、基本的な感染予防対策がカギとなるだろう。
岡田正彦
新潟大学名誉教授。医学博士。1946年京都府に生まれる。1972年新潟大学医学部卒業。1990年より同大学医学部教授、医学博士。米国学会誌 IEEE Transactions on Biomedical Engineering副編集長、学会誌『生体医工学』編集長などを務める。1981年新潟日報文化賞、2001年臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」 受賞。専門は予防医療学、長寿科学。