長い残暑もようやく終わりを迎え、木々が赤く色づく秋が到来する。この季節にぜひオススメしたいのが、初心者でも気軽に楽しめ、健康に良い“低山登山”だ。
本記事では、西日本の山々をご紹介しよう。
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歴史や伝説が色濃く残る近畿地方からは、和歌山県の日高川町と印南町にまたがる真妻山を取り上げたい。 NHK『ラジオ深夜便』で「旅の達人 低い山を目指せ!」のコーナーを長らく担当し、低山登山に関する著書も多く持つ低山トラベラーの大内征氏がこう解説する。
「『日高富士』とも呼ばれ、丹生都姫命という神様が降り立ったとされています。“真妻”とは彼女の美称です。海の絶景が広がる360度の大展望が素晴らしい山頂は、芝生で覆われていて、つい昼寝をしたくなる気持ち良さです」
同じく、海の美しさを堪能できるのが、中国地方の岡山県玉野市と倉敷市にまたがる王子が岳だ。
「瀬戸内海の絶景を眼下に眺められます。巨岩奇岩が無数にあり、中でも笑うモアイ像のようにも見える『ニコニコ岩』が有名。美しい夕暮れ風景でも知られ、写真映えスポットとして人気を集めています」(前同)
四国地方は香川県三豊市の荘内半島に位置する紫雲出山も、瀬戸内海を一望できる美観スポットだ。
「昼は海に浮かぶ小島、夜は漁船の漁火と、時間ごとに風景が変化します。特徴的な山名は、浦島太郎伝説からついたといわれています。春の桜が有名ですが、秋は見事な紅葉も見どころの一つです」(旅行サイト編集者)
最後は、九州・沖縄地区。紹介したいのは、大分県国東半島に鎮座する不動山。
「国東半島独自の山岳宗教である、六郷満山の仏教文化を感じられる岩山です。海と国東半島の地形が生み出す景観が素晴らしい。山頂までの道中、2014年の国東半島芸術祭で設置された、イギリス人彫刻家のアントニー・ゴームリー氏が製作した像が出迎えてくれます」(大内氏)
山に息づく歴史だけでなく、芸術の秋を味わえる登山になりそうだ。