■自分をアピールしたいときのしっぽは
(3)しっぽを後ろ足の間にはさむ
「“恐怖”を感じたり、“相手に降伏”したりするときに見られるしぐさです。怒っているときにしっぽの毛が膨らむのは、自分の体を大きく見せるため。対して、後ろ足にはさむのは、自分を小さく見せて、相手に“もう敵意がないよ”とアピールするためです。(1)~(3)のしっぽの形は、猫が四足で立っているときも、人間に抱っこされているときも共通です。もし、抱っこしたときに、猫のしっぽが小刻みに触れたり毛が逆立ったら、不安になっているので一度下ろしてあげましょう」
(4)しっぽを垂直にピーンと立てる
「先に述べた通り、しっぽを立てるのは、子猫が親猫へ自分の存在をアピールするという習性が関係しています。“甘えたい”、“自分をアピールしたい”というプラスの感情の表れなので、しっぽが垂直に立ったらたくさん遊んであげましょう。ちなみに、仲間の猫がしっぽを立てて近づいてくると、それに対して同じようにしっぽを立てる行動が見られるため、猫同士の挨拶にも使われていると考えられています」
(5)しっぽが下に垂れて、ダラーンとしている
「猫が“リラックス”しているときは、前足・後ろ足を投げるように伸ばして、ゴロンと寝転びます。そのとき、しっぽも床にダラーンと垂らすことが多いです。また、寝転がりながら、しっぽをブ~ラブ~ラと揺らしているときもリラックスしていることが多いです」
表情豊かな、猫のしっぽ――。つい触りたくなるが、そこは注意が必要だ。
「猫のしっぽは、背骨の続きであり、脊髄の太い神経とつながる非常にデリケートな部位です。とても敏感なので、多くの猫はしっぽを触ると嫌がりますし、引っ張って、しっぽの神経に傷がつくと健康を害することも。基本は触らないほうがいいですし、触るときは優しく撫でる程度にしてください。
猫に触るなら、しっぽよりも顔の周りがオススメです。猫は、顔の周りからは“フェイシャルフェロモン”を分泌していて、それを柱などにこすりつけてマーキングします。人間が顔の周りを撫でることで、“互いのフェロモンを交換した=あいさつをした”ということになり、友好の証になります。もし、猫カフェに行って、しっぽをピンと立てて近づいてくる猫がいたら、顔の周りを撫でであげれば、より仲良くなれますよ」
今回紹介したしっぽの状態を参考に、愛猫の気持ちを読み取ってみよう。
山本宗伸(やまもと・そうしん)
猫専門病院「Tokyo Cat Specialists」院長。
日本大学獣医学科外科学研究室卒業。獣医学生時代から猫医学の知識習得に力を注ぐ。