■福原遥の衣装だけが見どころ?
毎回のように怪しい人物を匂わせては、実はそうではなかったを繰り返してきたため、おなじみとなったラスト数分のどんでん返しも食傷気味。しかも、前社長・九条謙一(神保悟志/61)殺人の真犯人が、たいして重要人物でもなかった秘書・坂東(黒羽麻璃央/31)というのも唐突で、考察をしようにも冷めてしまう。
また、番組の考察を煽る気が満々の姿勢も、視聴者が冷めてしまう要因のひとつ。第8話の予告で、九条遥人(上杉柊平/32)が密子を助けたように見せて、実は、チンピラに殴られる遥人に密子が助けに入っていた、というように、予告は毎回、ミスリードを誘う作りになっている。しかし、それすら視聴者も見抜いていて、X上ではツッコミの声もあがっている。
密子のキャラブレもマイナスポイントだろう。「依頼者を必ず成功させる」とか言いながら、姉の死の謎を明かすことが目的になってからは、予想外の展開に振り回されっぱなし。毎回、誰かを疑ってるわりに当たらず、X上で「密子は人のことなんでもかんでも決めつけて責めすぎね」と言われているようでは共感できない。
考察を盛り上げる作りは、ミステリー系ドラマをヒットさせる条件ではあるが、さすがにこれは、やりすぎたというところだろう。そのせいか、X上では、《離脱レベルやけどここまで見たし、衣装と画面の色彩が可愛いから見てる笑》などと、本筋のミステリーではなく、衣装やセットなどが見どころという声まである。
物語は残りわずか。夏の裏切りの真意とは? 火災事故の真犯人は誰なのか? 密子と遥人(上杉)、智(清水)の恋の行方は? 予想もつかないどんでん返しによる、最後の盛り上がりに期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。