■若者が「ゴキブリ悪徳業者に引っかかる」理由

 ゴキブリが怖い若者が増えるなかで、“レスキュー詐欺”被害に遭う若者の割合の高さも目立つ。背景には、“なんでもスマホで調べる”習慣の影響がある。

「ネットで『ゴキブリ 駆除』とか調べて、いちばん上に出てきたところをポチっとしてしまうようだけど、あんなのお金を積んだらいくらでも上に表示できるからね。レスキュー詐欺の場合緊急を要していることもあって、ゆっくり比較検討するような心理状態ではないことにつけ込んで、せっせと広告にお金をかけるんですよ。冷静になれば、550円で大人が動くわけはないことに気づくはずです」(前出の早川氏)

 またゴキブリについて早川氏は、「個人宅の数匹のゴキブリ退治なんて、本来業者がやるものじゃない」と言う。

「駆除のしようがない。その人が見つけてから業者が到着するまでに逃げられたらどうしようもないし、だからといって目の前の一匹だけやっても仕方がない可能性も高い。でも最近は一匹に怯える人がいることを逆手にとって、ネット上で“できます、やります”と大きくうたうと、ネットを手軽に利用するスマホ世代には“やってもらえるんだ”という認知が広がってしまう。結果、ゴキブリが怖い若者が悪徳業者に引っかかるという構造です」(同)

 そんな早川氏が代表を務める会社では、「個人からのゴキブリ駆除依頼は受けない」という。

「管理会社からの依頼じゃないと受けません。というのも賃貸物件の場合、駆除費用をどこが負担するのかでトラブルになりやすいんです。住んでいる人なのか、大家さんなのか、不動産会社なのか。根本的に、自力で駆除できないレベルのゴキブリに悩むのであれば、まず管理会社や大家さんなどに相談する話です」(同)

 はびこる悪徳業者。早川氏は「『オレオレ詐欺』が姿を変え、半グレたちがやっているんじゃないかと思います。550円をアピールする業者が複数あるのも不自然で、おそらく元締めは同じ。会社の実名が公表されても、名前を変え、出ては消えるのを繰り返すでしょうから、とにかく“550円なわけはない”こと、“管理会社など、周囲に相談すること”を肝に銘じてほしい」と呼びかける。