水回りのトラブルや解錠、害虫駆除など、緊急時の駆け付けサービスとして激安料金をうたっておきながら、いざとなると不安をあおり、不当に高額請求をするレスキュー詐欺が近年流行しているという。

 消費者庁は9月30日、悪徳なゴキブリ駆除業者の実名公表に踏み切った。20代~30代の女性からの被害相談が数多く寄せられたというが、そもそも「ゴキブリを殺せない若者が増えている」と話すのは、ある駆除業者だ。

「公表されたのは、『害虫110番』というWEBサイトで、“関東エリア最安レベルに挑戦!追加料金一切なし!税込550円~”“シンプル料金&明朗会計”などとうたっていた東京・池袋の駆除業者の『ORBITAL PERIOD(オービタル・ピリオド)』です。

 消費者庁によると、20代・30代の女性を中心に、同社に関する相談が各地の消費生活センターに多数寄せられたとのこと。4~8月は138件で、そのうち20代女性が約41%、20代男性が約22%と、20代からの被害問い合わせが6割を占めます」(全国紙記者)

 手口としては、作業員が「卵があった」「ゴキブリが出入りできるすき間ばかりある」などと心配させたうえで追加作業を提案し、10数万~20数万円かかると説明し、追加料金を求めるというもの。利用者が驚きためらうと、さらに「3匹ってことは実際にはこの何倍もいる。これからの季節は更に増えてくる」などとたたみかけ、契約させてしまうのだ。

 しかし実際には10分~15分程度の表面的な作業で終了するのが常套手段。前述の138件のうち、言われるままに支払ってしまったのは118件で、平均金額は10万9千円ほど、最高金額は32万円だったという。

 害虫のなかでも、日常生活において最も“身近”な存在とも言えるゴキブリ。その俊敏さゆえ、家の中で発見したら速攻退治すべく、さまざまな“倒し方”が指南されてきたものだ。しかし今はそれを業者に依頼する時代なのかーー。

 関東を中心に害虫・害獣駆除を手がける『株式会社想和ホールディングス』の早川佳宏代表は、「昔は個人が業者に依頼するなんてことはなかった」と話す。

「家や街がきれいになっているからか、虫が怖い若者が増えたように、ゴキブリが怖い若者が増えたんでしょうね。悪徳業者はそんな人たちの足元を見ているんでしょう」