プロテインブームが続いている。
たんぱく質は、炭水化物、脂質とならぶ「三大栄養素」のひとつだが、2010年頃には日本人のたんぱく質摂取量は戦後まもない1950年代と同程度まで減少。この事態を受けて、厚生労働省を始め、各種メディアでたんぱく質摂取を呼びかける発信がここ10年で増加しており、近年の健康志向を追い風にフィットネスクラブ市場が拡大するにつれ、たんぱく質を手軽に補給できるプロテインの需要も高まった。
「高たんぱく質のヨーグルトやドリンクだけでなく、プロテイン入りのインスタントラーメン、お菓子やアイスまでがコンビニやスーパーで手軽に手に入るように。さらに20年頃からは豆腐バーなどの新たなヒット商品が生まれたほか、シニア向けの高たんぱく質ゼリーなど、さまざまな形態の食品が登場。民間調査会社の富士経済によれば、たんぱく補給食品の市場は11年は約500億円だったのが、20年には2000億円を突破と4倍に伸びた」(全国紙経済部記者)
“プロテインはマッチョな筋トレ男性のもの”……というイメージも今は昔。女性や高齢者も意識的にたんぱく質を摂ることが健康や美容に欠かせないという意識に変化している。
23年のたんぱく補給食品市場は約2580億円になっていると見込まれ、前年比2.4%増と堅調に成長。プロテインブームも落ち着いたと指摘されるが、こうしたなか、新たな波も生まれつつあるという。
「近年、ケーキ缶などのスイーツ自販機や、搾りたてオレンジジュースの自販機など、新種の自動販売機が話題になるが、プロテイン自販機も注目を集めている」(同)
プロテインをドリンク形式で提供する自販機は以前からあり、森永製菓は同社が展開する米健康・栄養食品ブランド『ウイダー』のプロテインサーバーを17年からフィットネスクラブを中心に設置。大手食品会社の明治は、健康志向の高まりに合わせて、自社のプロテインブランド『ザバス』とアミノ酸ブランド『VAAM』などを中心にそろえた『明治スポーツ自販機』をスポーツ施設などで展開している。
そんななか、いま話題なのは、国内634店舗を誇る総合ディスカウントストア『ドン・キホーテ』にプロテイン自販機が設置されたことだ。
「24年4月に神奈川県・横浜市の『MEGAドン・キホーテ狩場インター店』に設置されたのが最初で、続けて設置された神奈川県・川崎市の『ドン・キホーテ溝ノ口駅前店』とあわせ、現時点では2店舗のみの展開。9月に入って『ドンキにプロテイン自販機がある』という溝ノ口駅前店に関する投稿が1.5万リポストされるなどSNSでバズったことで、注目を集めている」(同)