■世代に合わせての気遣いが重要

 確かにLINE、メール、ワープロの3つのツールでは、それぞれ“レス”をもらうまでの間が異なる。

「メールは遠隔地から返信をもらうこと、ワープロでは直接手渡しする表情で反応を窺うことができました。対して、LINEでは即時オンラインで確認・反応ができてしまうので相互のコミュニケーションの方法としてはかなり差異が出てきます」(前出のITライター)

 この違和感を払拭するためには、世代ごとに理解と気遣いを心がける必要があると西村氏は指摘する。

「上の世代の人にとっては、LINE世代の“既読スルー”という文化は不快に思うこともあるでしょう。しかし、それは、断ったり、否定したりするのは失礼だからなどの相手の『気配り』の結果かもしれません」 

 また、軽い挨拶や“既読”以外のリアクションをする『ちょっとした作法』を求めるなら、こちらからのアプローチも手段だ。

「今の若者は、スルーすることに長けている印象。本音でぶつかることは相互理解を深めるコミュニケーションになります。こちらも気遣いをしつつ、1対1で苦言を呈してみても良いでしょう」

 一方で、『LINE世代』である若者も上の世代のことを顧慮したいところだ。

「LINEに慣れない世代などに対しては、使い方を教えたり、メールや通話など適切な形に使い分けるといった配慮を見せてほしいところですね」

 インターネットとスマホがもたらした新時代。各世代が手を取り合って便利で快適に過ごしていきたいものだ。

西村美東士(にしむら・みとし)
専門:社会教育学、青少年教育、ICT教育。
略歴:勤労青少年指導者大学講座1期生、東京都社会教育主事、国立社会教育研修所専門職員、昭和音楽大学助教授、徳島大学教授、聖徳大学教授、板橋区社会教育指導員(中高生の居場所づくり)を経て、2020年4月より若者文化研究所代表。
著書:『学びの見える化の理論と実際-教育イノベーションにむけて』(勁草書房、2023年3月)等がある。
若者文化研究所公式サイト<http://mito3.jp