■不動産バブルが弾ければ圧勝の選択肢

 では、第3の選択肢である定年後の持ち家購入は、どうだろうか。

「この作戦の要は“定年後に購入”というところ。定年後であれば、通勤を気にする必要がないので、会社から遠い地方の割安物件を購入することができます。また、子供も独立していることが多いので、広さも気にすることはありません。貯金はもちろん必要ですが、現役時代に持ち家を購入するより、購入費用を安く抑えることができます。

 また、昨今の不動産バブルがずっと続くとは考えにくい。仮に数十年後、住宅価格が下落していれば、賢者の選択といえそうです」(前同)

 一方、デメリットももちろんある。

「定年後に購入となると、高齢がネックになって、住宅ローンはまず組めない。住宅ローンには、他のローンに比べて圧倒的に低金利だったり、銀行の振込手数料やコンビニATM手数料の減額や免除など、様々な優遇措置がある。これらの優遇措置が受けられないのはデメリットと言えるでしょう」(前同)

 この第3の選択肢について、節約アドバイザーの和田由貴氏が解説する。

「金利上昇し、都心などでは家賃相場も上昇していることから、キャッシュで住宅購入をすることは賢い選択肢の一つだと思います。ただ物件を選ぶ際は、老後の生活をしっかりイメージしておかないと、逆に高い買い物になってしまう可能性もあります」

 メリットも大きいが、危険も伴うという。

「地方で物件を買った場合、住み慣れない地域で人間関係の構築や、交通の便が悪い場所で日常生活にかかる交通費などの負担が想定外にかかることもありえます。老後は通院なども増えますが、いつまでも車の運転ができるわけではありません。金利などの損得だけを考えず、実際に住み続けた先のことを想定して熟考することをおすすめします」(和田氏)

 住宅についての選択肢はケースバイケースといえそうだ。

和田由貴(わだ・ゆうき)
消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。「節約は、無理をしないで楽しく!」をモットーに、耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱しています。