■オカルト使いが絶妙な『全領域異常解決室』
もともとオカルトネタは、ネット民を中心に支持が厚い。今回は謎の生物とされる物体・ケセランパサランが登場した。また、祠の破壊が扱われたが、こちらも「祠を壊したんか」が最近、ネットミーム化していて、Xで「祠を壊したでコーシー大噴出してしまった」と盛り上がっていた。Xから配信への流れていった視聴者も多いだろう。オカルトネタの扱い方が絶妙だったことが、配信での好調を後押ししたのは間違いない。
一方、単なるオカルトドラマにならないよう、人間によるトリック部分も作り込んでいる。事件を合理的に決着させ、それでも解決できない部分でオカルトを匂わせるバランスが秀逸なのだ。そのためX上では、かつての人気ドラマ『TRICK』(テレビ朝日系)や『SPEC』(TBS系)を思わせるという声もある。
今回のきつねダンスのような、遊び要素だけではなく、ネットを意識したオカルトミステリーとしても、巧妙に作り込まれている『全領域異常解決室』。視聴者がパソコンやスマートフォンで楽しめる、配信サービスの数字はまだまだ伸びそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。