■視聴率が悪くても配信は好調

 前出の制作会社関係者は言う。

「放送前から注目されていた今期のドラマでは、『放課後カルテ』(日本テレビ系/土曜夜9時~)は人気俳優の松下洸平さん(37)が主演かつ、これまでにない不愛想な役柄を演じるということで注目されていましたが、こちらも微妙な感じですね」

『放課後カルテ』は、日生マユ氏による同名漫画(講談社)が原作の、保健室ヒューマンドラマ。小学校を舞台に、松下演じる不愛想な小児科医が子どもの心をケアする物語である。19日に放送された第2話のコア視聴率は1.7%。

 同じく日テレの主力ドラマとしては、堀田真由(26)主演の連続ドラマ『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』(日本テレビ系/日曜夜10時30分~)があるが、時間の遅さも手伝い、やはり数字は取れていない。

 ドラマ『若草物語』は、米国の作家ルイーザ・メイ・オルコットのベストセラー小説『若草物語』を原案に、舞台を大胆に令和の日本に置き換えて描く、堀田、仁村紗和(29)、長濱ねる(26)、畑芽育(22)が姉妹役で共演する社会派シスターフッドコメディー。20日に放送された第3話は、コア1.3%だった。

 あまりにも厳しく、絶望的とも思えてくる連続ドラマの視聴率――。しかし、その一方でもはや“低視聴率=不人気”という図式は通用しなくなっているという。

「TVerのお気に入り登録者数を見ると、大体のドラマはお気に入り数50~80万程度を獲得しており、目に見えて数字が取れていない不人気な作品はないんです。深夜ドラマでも登録者数40万を超えている場合もあって。

 現代の視聴者はドラマをもはやリアルタイムではなく、自分の好きな時間、集中できる時間にTVerなどの配信で見ている。ドラマの視聴習慣が、明らかに変わっているんですよね。その影響か、視聴率発表にも変化が訪れています」

 従来、GP帯のテレビドラマはよほどの低視聴率でない限りは、放送翌日に世帯視聴率が公表されていた。しかし、今期は『モンスター』や『若草物語』など、初回しか世帯視聴率を公表しないドラマが増えているのだ。

「もちろん地上波放送のCMのスポンサーもいるし、数字を無視することはできないでしょうが、視聴率は壊滅的な一方で配信がめちゃくちゃ回っているドラマも珍しくない。

 テレビ界は、数年前と比べても激変しており、大々的に視聴率を公表する意義が薄れつつあるのかもしれません。リアルタイムでの視聴以上に配信でしっかりと見てもらうことを意識しているような作品もありますし、今秋の作品を機に、より配信重視が進んでいきそうな気配がありますね」

 かつては、世帯視聴率が10%いけば“高視聴率”、いかなければ“ちょっと厳しい”などと言われた時代もあったが、今や配信の再生数が注目される時代に――。テレビドラマ界は大きな変容を遂げた。