今や春だけでなく、秋も“シーズン”となった花粉症。日本列島ではヨモギやブタクサなどの花粉の飛散が本格化している。
この秋の花粉症に加え、インフルエンザも流行期に入ったことで、なんだか鼻がムズムズ&くしゃみ連発、という方も多いのではないだろうか。
「くしゃみは、異物を体外へと押し出す人間の免疫反応の一つです。特に花粉症や風邪が流行る秋になると、症状が出やすくなってきますね」
こう言うのは新潟大学名誉教授で、予防医学の専門医である岡田正彦医師だ。
だが、このくしゃみ、やり方を一つ間違えると、健康面に大きな影響を与えかねないということを、ご存じだろうか。
「2023年に英研究機関が発表したところによると、口と鼻を抑えて、くしゃみをした人の気管が破れたケースも報告されています。
くしゃみを我慢すると、肺からの空気を外へと逃がすことができず、気管の裂傷につながりかねないというんです」(医療誌記者)
前出の岡田医師も、くしゃみの意外な危険性を指摘する。
「くしゃみをしたときに腰を痛めたり、肋骨を骨折するというようなケースもあります。逆にくしゃみを我慢しようとして、脳の血管が破裂したり、肺の損傷が起きたりといった事例も報告されています」
くしゃみをすると身体の中でエネルギーが発生する。周囲を気遣い、音を出さないように抑え込もうとすると、行き場を失ったエネルギーが体内に圧力をかける形となる。
「“クシュン”と音を立てた状態で、くしゃみをするときと、ただ深呼吸をしたときとで体にかかる圧力差は、約30倍ともいわれています。
一方、無理にくしゃみを抑えると、さらに8倍から24倍の圧力が体にはかかるそうなんです」(前同)
つまり、音を消すくしゃみは超ハイリスク。生死に関わりかねないというわけだ。