■ライオン以上の力を持つ沖縄のカニ
また、沖縄県に生息する“ヤシガニ”も甲殻類最強クラスの挟む力を持つ。
「ヤドカリの仲間で陸上で最大の節足動物です。ノコギリガザミと同様、一般的な握力は80~120キロ。人間でもギネス級の握力で、ねじ切られたらひとたまりもないでしょう」
最強クラスの4キロの個体になると、そのパワーは約360キロと体重の90倍にも及ぶというのだから、凄まじい。
このヤシガニも高級食材として人気が高い。
「東南アジアで食べたココナツ煮は絶品でした。ただ、稀に“毒ヤシガニ”が紛れています。死亡事故も確認されているので要注意です」
ここまでカニの爪の挟む力を扱ったが、挟まれる痛みと同様に、傷からの感染症も注意すべきとパンク氏は語る。
「14年、中国ではザリガニに挟まれ、その傷から細菌感染し数日後に急死したという事故がありました。汚水が生息地であるカニには特に、挟まれることに警戒したほうがよいでしょう」
では、実際に挟まれたらどのように対処すれば良いのだろうか。
「カニの爪はワニの顎と同様に、開く力は強くありません。挟まれてしまったら、爪を開き、静かに地面に置くとよいでしょう」
カニの爪にはご用心!
パンク町田(ぱんくまちだ)
1968年、東京都生まれ。NPO法人生物行動進化研究センター理事長、動物研究家。近著に『パンク動物記 アフリカの最強動物』(ポプラ社)、『パンク町田の動物たちの嘘のような本当の話』(三笠書房)等がある。