「だいぶワクチンの接種率が悪い」

 11月12日、東京都医師会の定例会見で、尾崎治夫会長はこう眉根を曇らせた。

「10月から、65歳以上を対象に新型コロナワクチンの定期接種が始まりました。尾崎会長は、定期接種を受ける人が少ない理由として、“6〜7回打ったからもう大丈夫じゃないかと考える人がいる”と警告していましたが、他にも理由があるはずです」(医療関係者)

 コロナは例年、冬季に感染拡大が発生しており、人口の多い東京都は多数の感染者を出す。

「コロナが5類に移行した2023年5月から24年4月の1年間で、コロナに感染して死亡した人の約97%が65歳以上だったというデータもあります。

 ただ、定期接種を受ける高齢者はどんどん減っている印象ですね」(前同)

 コロナワクチンに詳しい新潟大学名誉教授の岡田正彦氏は、接種率の減少には「3つ理由がある」と、指摘する。

「一つ目は、5類に引き下げられたことで、“今さらワクチンを打つ必要があるのか”と疑問に思う人が増えたこと。変異株が弱毒化しているという見方が強いこともあり、普通の風邪と同じだと考える人が多くなった印象があります」(岡田氏)

 加えて、過去のワクチン接種での苦い記憶が接種率を押し下げているという。

「多くの人が、ワクチン接種の副作用として、帯状疱疹や湿疹、果ては寝たきりになったという事例まで耳にする機会が増えました。そこから、ワクチンに対して警戒心が生まれたのではないでしょうか」(前同)