■“シェディング”の可能性を心配する声も
三つ目に、安全性をめぐる報道が飛び交った自己増殖型の「レプリコンワクチン」への懸念があるという。
接種はモデルナやファイザーのmRNAワクチンなど、5種類のワクチンから希望のものを打てる仕組みとなっている。ただ、「接種に行ったらレプリコンワクチンを打たれる」と、多くの人が思い込んでしまっている可能性があると、岡田氏は指摘する。
「レプリコンワクチンは、呼気や汗を通じて、接種者から未接種者へワクチン成分が伝播する“シェディング”の可能性があると噂されていることで、多くの人が不安視しています。とにかく実験データが少ないため、私は同ワクチンの接種に反対しています。ただし、シェディングに関しては根拠に乏しく、専門家として“起こりえない”と断言できます」
一方、定期接種の伸び悩みを受け、尾崎会長は冒頭の定例会見で、
「インフルエンザのワクチンは“毎年打っている”とおっしゃるのに…」
と、インフルエンザワクチンを引き合いに出し、コロナワクチン接種を促した。
「ワクチンのメカニズムが全然違うので、一緒にして考えてはいけません。インフルエンザワクチンは、何十年も世界中で打たれてきて、重大な副作用がとても少ないことが分かっています。副作用の点だけ見ても、まったく違いますね」
今年の冬はコロナ感染者が爆発しなければ、よいのだが……。
岡田正彦(おかだ・まさひこ)
1972年、新潟大学医学部を卒業。医学博士。新潟大学名誉教授。水野記念病院理事、水野介護老人保健施設長。予防医療学を専門とし、米国心臓学会プロフェッショナル会員。2002年に臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」を受賞。長年、病気を予防するための診療をおこないながら、日本人におけるがんや血管障害などの危険因子を探るための調査にも関わる。