今や一口に「缶詰」といってもその内容物は多種多様。トマトやツナ、みかんといった“THE定番”のものから焼き鳥、だし巻きたまご、サバの味噌煮におでん等、それだけでおかずになるものもその種類を増やしている。

 そんな中、ついにラーメンの缶詰が登場することが話題になっている。

「らーめん缶 醤油ラーメン」(丸山製麺/参考価格:1缶あたり税込648円)が、ヌードルツアーズ公式通販サイトにて予約販売を受け付けているほか、12月10日頃からは全国各地の自動販売機・スーパー等でも発売開始される。

 缶の中には、本格小麦麺を用いたラーメンと醤油スープのほか、メンマやチャーシューなど、ラーメンならではの具材も。1958年創業の業務用麺類製造業を行なう株式会社丸山製麺と、八戸缶詰グループである株式会社三星が共同開発した商品で、そのまま常温でも食べられるほか、缶ごと湯煎にかければ温かいラーメンを楽しめる。

 なぜ、ラーメンを缶詰にしようと思ったのか。丸山製麺取締役・丸山晃司氏に開発の経緯を聞いた。

「もともと丸山製麺は業務用の麺を作る製麺所で、冷蔵商品を手がけています。そこから2021年に『ヌードルツアーズ』というブランドで冷凍ラーメン自販機を展開したのですが、常温は未知のジャンル。さらにはどうしてもラーメンはゆがく、スープを作るなどひと手間がかかりますが、“即食”できるものを作りたいと思った時、缶詰というアイデアが生まれたのです」

 とはいえこれまでも、世に「ラーメン缶」がなかったわけではない。

「今から15年ほど前、秋葉原を中心にラーメン缶が流行ったことがあります。ただし当時の麺は伸びるのを防ぐため、白滝のようなこんにゃく粉を使っていました」(前同)

 こんにゃく麺では、いわゆる「ラーメン」からはかなり遠くなるため、今回の「ラーメン缶」は、小麦粉使用にチャレンジ。試行錯誤を続け、商品にするまでに1年半ほどかかったという。

 缶の中でスープに浸かりっぱなしの麺が伸びないわけはないが、同社は小麦粉を使うことにこだわり、“伸びにくい麺”のオリジナルレシピを編み出した。 

「最初は中でぐちゃぐちゃに溶けてしまったりしましたね。麺の太さも細すぎると切れてしまうので、太めにするなど、いろいろ工夫しました」 (同)

原材料欄 撮影/編集部