■そもそもジェシーの個性が活かせていない

 亮子(趣里)はサポート役となり、杉浦がメインの回ではあったが、そのぶん、ジェシーの演技のアラが目立ってしまったのは残念。感情の入らない棒読みセリフもそうだが、表情に変化が乏しいのは致命的だ。訴訟に関わる人物と対峙するシーンは多かったが、杉浦が相手の言葉を受けてなにを考えているのか、どんな感情を抱いているのか分かりにくいのだ。

 また、動きも妙にカタイのだが、これは役柄的にあえて抑えている可能性がある。ジェシーは184センチと高身長であるぶん、仕草が大きいとオーバーアクションになってしまうからだ。舞台ならそれも映えるのだが、ドラマサイズでは枠に収まらず、ジェシーの個性が活かせない。

 本作のジェシーは、ミスキャストだったと言わざるを得ない。X上に、《ボディガードとかSP役とか絶対合う》という声があったが、たしかに、映画『リボルバー・リリー』で演じた津山ヨーゼフ清親のような、セリフ抑えめで身体も活かせる役のほうがしっくりくるだろう。ジェシーがポテンシャルを発揮できるような、次作に期待したい。 (ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。