■難ゲームが遊びやすくなった

 一方、この点に関して、ロマサガ2は真逆の路線を突き進んでいる。

「スーパーファミコンの時代から尖った作品だった、ロマサガですが、リメイク版でも健在。ゲームの冒頭から主人公である最終皇帝の性別を選択することから始まります。多くの職業に性別が存在し、性別でキャラ性能も変化し個性も豊か。原作のドット絵も魅力的でしたが、フルリメイクされた3Dのキャラクターは、男性は雄々しく、女性はセクシーに描かれています」(前同)

 ロマサガ2の高評価は、ゲーム性の進化にもある。

「スーファミ時代のロマサガは難易度も高く、ラスボス戦直前にセーブすると戻れなくなるなどいわゆる“詰む”要素が多かった。また、フィールドの隅々まで歩いて町の人も全員に話しかけないと、イベントが進まなかったり、ストーリーの深部が分からないなど、プレイする人を選ぶ作品でした」(前同)

 今回のリメイクでは、原作に忠実でありながら、プレイしやすい環境に改良されたという。

「原作では分かりにくかった敵方の七英雄の目的も明確になりました。新規ユーザーも意識して作られていて、難易度も選択可能で、攻略をサポートするガイド機能もあります。原作に足りなかった部分を補ってくれた形ですね」(前同)

 性別の仕様変更で批判を受けたドラクエだが、実際にプレイしたユーザーの評価は高い。

「新職業の『まもの使い』の特技が、使い勝手が良く楽しい。また、性別はなくなったものの、性格は残っており、元々優秀だったセクシーギャルの成長率が、今作でも厚遇されていたりと、プレイすると世間が言うほど性別廃止は気になりません」(前同)

 明暗を分けたとされるポリコレへの配慮は、両作品の立ち位置に起因しているという。

「ドラクエは、今や地球全体で遊ばれている世界的ゲーム。海外のユーザーへの配慮も必要不可欠です。一方、ロマサガ2はヒット作とはいえドラクエ3の80万本に対して11万本程度。今年一の評価もある良作ですが、ドラクエに比べると社会現象を起こすほどではないということでしょう」(同)

 昭和と平成の名作を令和にプレイできる喜びを噛みしめたい。

大西圭(おおにし・けい)
ネットライター。ゲームから芸能、裏社会、風俗、アダルト業界まで精通。特にゲームはファミコン時代からの愛好家。