■入浴中の事故死は交通事故死の2倍

 前出の女性誌編集者が言う。

「専門家からは中山さんがヒートショックで亡くなった可能性は低いという指摘も言われていますね。入浴中の深い睡眠や熱中症による意識喪失などの理由も考えられるようですが……とにもかくにも“入浴中の事故で亡くなる”ケースは本当に多いんですよね……」 

 著名人でも、浴室での事故で亡くなった方は多くいる。

 たとえば、元プロ野球選手・監督の野村克也さん(享年84/2020年2月11日没)は自宅の浴槽でぐったりしているところを家政婦が発見し、死因は虚血性心不全だと明らかになっている。

 俳優では、平幹二朗さん(享年87/16年10月22日没)は、自宅の浴槽で倒れているのを息子で俳優の平岳大(50)が発見し、死亡が確認された。公式に死因は明かされていないが、ヒートショックが引き金となった可能性が指摘されている。

 白川由美さん(享年79/16年6月14日没)も浴室内で倒れて心肺停止の状態で病院に搬送され、心不全のため逝去した。白川さんは、亡くなるわずか2時間前には友人と電話で「軽井沢に行こう」と話していたという。

 また、海外では映画『マダム・イン・ニューヨーク』などで知られるインド映画界のスーパースター・シュリデヴィ・カプールさんも、浴室の事故が原因で18年2月24日に亡くなっている。シュリデヴィさんは甥の結婚式に出席するため、ドバイのホテルに宿泊していたが、浴槽で意識を失い、溺れて死亡したという。中山さんと同じ54歳だった。

 2021年に厚生労働省が発表した人口動態統計によると、65歳以上の高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水の死亡者数は4750人で、なんと交通事故死亡者数2150人のおよそ2倍とされる。

 この状況に国も強く注意を促しており、消費者庁のホームページでも、入浴中の事故を回避するための5つの注意点を呼び掛けている。

1、入浴前に脱衣所や浴室を暖めておく

2、湯温は41度以下、お湯につかる時間は10分までを目安にする

3、浴槽から急に立ち上がらない

4、食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避ける

5、入浴前に、同居する家族にひと声かける

 中山さんの死に悲しみにくれているファンは多いが、浴室での事故は、決して他人事ではない――。