「11月29日、厚生労働省が普通の風邪を“急性呼吸器感染症”として、新型コロナ肺炎やインフルエンザと同様の『5類感染症』に分類するという省令を交付しました。施行は2025年の4月7日からです」(全国紙社会部記者)

 ちなみに、5つの特定感染症には物騒な感染症が並ぶ。
・1類=ペストやエボラ出血熱など。
・2類=結核やジフテリアなど。
・3類=コレラや腸チフスなど。
・4類=狂犬病や日本脳炎、マラリアなど。
・5類=新型コロナ肺炎、インフルエンザのほか、梅毒や破傷風など。

 致死率が5割を超えることも多い1類ほどではないものの、梅毒も破傷風も放置したら死に至りかねない疾病。鼻水や咳、発熱などが主な症状で、高齢者や重い持病がある人以外はめったに死なない“風邪”をそんな病気の仲間に入れても大丈夫なのか。

 医療ジャーナリストの牧潤二氏がこう解説する。

「コロナで感染症に対する関心が高まり、一般的な風邪も厚労省で把握しておこうということでしょうね。また、風邪が特定感染症に位置付けられることで、これを予防するワクチンの開発も進むことが期待されます」

 だが、その一方でこんな懸念も。

「検査費用は公費で患者の負担はさほど増えませんが、風邪が5類に分類されると、特定病院など全国に約5000か所ある医療機関では、患者数や症状を報告しなくてはならなくなります。そのため、省令には医療現場関係者の反対が多いんですよ」(前同)