11月30日、熊一頭が、秋田県秋田市のスーパーに立て籠もる前代未聞の事件が起こった。
「開店準備をしていた男性従業員がケガを負いましたが、秋田県警のSIT(特別事件捜査係)も出動し、12月2日に無事捕獲されました。熊の捕獲数は年々増加。今年も全国各地で熊被害が報告されています。しかし、猟銃規制や後継者不足により、猟師の数は減少傾向にあるのが現状です」(全国紙社会部記者)
そんな中、1本の動画が話題になっている。一頭の秋田犬が親子の熊から飼い主を守るように立ちはだかり、吠え立てて熊を立ち去らせるといったものだ。
その勇姿はさながら『銀牙〜流れ星 銀〜』(集英社)で非道な熊“赤カブト”に挑む主人公、熊犬の“銀”のようだった。
ところが、動物研究家のパンク町田氏は、「現実は漫画のようにはいかない」と、語る。
「“熊犬”は現場で実際に活躍していますが、銀のような勇気と根性がある犬は存在しないでしょう。なぜなら、どんなに強くても熊には力で負けてしまうから。真の熊犬とは“吠え立てて熊の気を散らせ、ハンターが倒すのを手伝う”存在なのです」(前同)
そこで今回は、パンク町田氏協力のもと、日本犬の発祥と猟犬の歴史、そして彼らの強さについて迫ってみよう。
日本犬の種類は秋田犬、甲斐犬、紀州犬、北海道犬、四国犬、柴犬の6種と定められているが、その発祥は複雑だという。
「縄文犬から誕生したといわれていますが、北や南、中国からさまざまな血統が入っているはず。それが交雑して地方土着の種ができたのではと考えています」(パンク町田氏=以下同)
海外の猟犬との大きな違いは、“被毛”にあるようだ。
「洋犬のポインターやセッターが平原で走り回る猟犬なのに対し、日本犬は山の中で猟をします。寒さに耐え、木の枝に引っかかってもケガをしないよう、被毛が2層になったダブルコートが特徴です」