■妻ことばが分からず熟年離婚
そんな高齢男性のために高草木氏が執筆した『ホンネがわかる妻ことば超訳辞典』(青春出版社)。同書で紹介されている“妻ことば”から離婚されないための翻訳術と対応術を紹介したい。
仕事やパートから帰った妻が台所の椅子にぐったりと座り、夫を見ながら「今日は仕事が大変で疲れちゃった」と言った。
「こんなとき、奥さんは夫に“疲れたから食事作りやお風呂掃除など、代わりにやってくれない?”と言外に言ってるんですね。ところが夫のほうは、自分がやるなんて考えもしないから、“オレ、腹減ったよ。早くメシにしてくれよ”なんて返事しちゃう。で、奥さんは“あ〜あ、この男、何にも分かってくれない”となり、不満がたまる。これが、熟年離婚の火種になるんです」
妻を思いやれない言葉は食事中も出る。妻が手の込んだ夕食を作った。「どう、今日は、このスパイスを使ってみたの」と聞くが、夫は「いつもと、そんなに変わらないけど」などと返答する。
「せっかく作ったんだから、奥さんはとにかくおいしいと褒めてもらいたいんです。でも、夫はこれに気づかない。こんな“すれ違い”に妻はガッカリしてしまうんですね」
家事についても同様。最近の妻は「家事は基本的に夫婦平等」と考えている。 妻が夫に「レンジや台所って汚れがこびりついて掃除が大変」と言った場合。
「これは“力仕事はアナタにやってほしい”と言っているんですが、夫は“大変だね”とひと言ですませてしまいがち。女性同士の会話では、言葉の裏を斟酌してくれるんですが、夫はこれをやってくれないから、妻のイライラや不満が募っていくんです」
妻が「トイレが汚いときがあるんだけど」という場合も同じだ。
「奥さんの本音は、“トイレが汚い。アナタが汚したんだから、掃除して”なんですが、夫は“へー”だけで何もしない。また、奥さんの仕事が増えてストレスがたまります」
会社のゴルフコンペで家を出ようとすると、妻から「いいわねえ、休みの日はいつもゴルフで」と言われたことがないだろうか。
「奥さんの本音は、“私はいつも家事ばかり”という不満です。これに気が付かず、“半分は仕事なんだからしかたないだろう”などと言い返してしまうのは悪手。“お詫びに今度の日曜日、友達とゆっくり遊んできなよ。家事はオレがやっておくから”と応えるのが正解です」
年を取ると、身だしなみを整えたり、風呂に入るのが億劫になる。すると妻が「ヒゲが伸びているわね」とか「もう3日もお風呂に入ってないんじゃない?」と注意するが、これは、けっして夫のために言っているわけでもない。
「アナタが汚い格好をしてると、私が恥ずかしいでしょ。もっと清潔にしてよ」ということ。
「オレの姿格好なんて構わないでくれ」なんて言うのではなく、「加齢臭とかする?ゴメン。今晩、入る」が模範回答になる。