不況が叫ばれる日本で、苦境に立たされているのがラーメン業界だ。

「1月7日に発表された帝国データバンクのレポートによれば、24年のラーメン店経営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は72件にのぼり、前年比3割超で過去最多の大幅増となりました。さらに23年度の業績では、33.8%の店が赤字状態、27.7%が減益と、6割を超える店が“業績悪化”の苦しい状況にあることも浮き彫りになっています」(全国紙経済部記者)

 インバウンド需要もあり、外食産業全体は好調に推移しているものの、ラーメン店は厳しい戦いを強いられている。

「ラーメン業界は他業態と比べ、設備投資が比較的安価なこともあって新規参入も多く、個人店や小規模チェーンの数が圧倒的に多い。そのぶん競争が激しく、飽和状態にもあったわけだが、このところの原材料費や水道光熱費、人件費などの上昇でますます苦しくなった」(前同)

 ラーメン業界は今後どうなっていくのか。年間600杯、全国47都道府県のラーメンを食べ歩き、テレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』などにも出演したラーメンライターの井手隊長に事情を聞いた。

「20数年食べてきましたが、コストにおいては今が一番というくらい厳しい状況じゃないでしょうか。ラーメンに使っているものが全部値上がりしていますから。スープをずっと炊き続けているようなお店だと、ガス代の上昇もかなりのコスト増になります。コロナ以前の5年前だと、乱立状態にある店同士の競争に勝つか負けるかという感じでしたが、今は “それなりに安い価格”で提供することができないという、競争どころの状況ではないですよね」(井手隊長=以下同)

 コスト高が続き、これまでの価格を維持できない店が続出している。

「とくに常連さんでもっているような老舗は、客が離れてしまうという不安からなかなか価格を上げられないでしょうし、“手ごろな価格で提供する”というプライドゆえに、上げたくないとこだわる面もあるでしょうから、大変だろうと思います。地域密着型でも、町中華とかであれば、どこでも手に入るような比較的安価な食材を使っていたり、自宅を兼ねていて家賃が別途かからないといった形態だったりするので、続けやすい店も多いでしょうが……」