■絶対気をつけるべき海外からの着信

 最も恐ろしいのは、「国際電話詐欺」。この詐欺の手口は、海外からの一瞬の着信で被害者を誘導するというもの。警視庁の資料を見ると、2023年6月にIP電話の本人確認が義務化されたことで、以降、国際電話が特殊詐欺に使われたケースが激増しているのがわかります。詐欺集団は法整備が弱い国や地域の電話番号を使用しており、着信を見た人が不審に思って折り返すと、そこから高額な通話料が発生してしまうというケースです。

 その心理的トリックは巧妙で、2万円前後という絶妙な金額を請求することで、被害者は「この金額なら仕方ないか」と思い、泣き寝入りしてしまうことが多い。また、一度折り返してしまうと「カモ」と見なされ、次々と詐欺電話がかかってくる恐れもあります。

 電話会社によれば、現在のシステムではこうした電話を完全にブロックすることは難しいとのこと。ともあれ、「+」から始まる電話は“危ない”と思っておくのが無難でしょう。

 また、最近の技術では、電話番号を自由に偽装することが可能になっていることから、「番号偽装詐欺」にも注意が必要です。例えば、偽装された実在する警察署の番号から「大規模詐欺事件の調査で、あなたの口座が関与している」と連絡を受け、「資産保全のために口座を凍結する必要がある」などと言う。そこで「凍結されたくない金額を警察管理の口座に振り込んでください」と誘導されるケースが多発しています。この手口は非常に巧妙で、実際に昨年に福島県で50代の男性が3410万円をだまし取られる被害が発生しています。

 深夜にかかってくる「非通知ワンギリ」。その背後に潜む目的は、想像以上に危険で巧妙です。怪しいと感じたらすぐにキャリアや警察、消費者センターに相談してください。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。