クラフトビールにクラフトジン。昨今、巷で良く目にするようになった『クラフト〇〇』という言葉。近年、その品目は驚くほど多岐にわたるという。
「高級スーパーとして知られる成城石井では、クラフトドレッシング専用の棚を店内に設置しています。また、豆腐バーで知られるアサヒコは昨年11月に『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)で、にがりや豆乳の濃度をイチから見直したクラフト豆腐を作る予定があると明かしています」(全国紙経済部記者)
消費者の注目度が日に日に増しているクラフト業界。なぜ、ここまでの一大ブームが起きているのか。
「消費者は『クラフト』と商品名に付いていると、製法や素材にこだわりがある逸品という印象を抱きます。そのため、商品の質を表す象徴的な言葉として一ジャンルが確立されつつあるのです。最近では、全国のクラフト商品や、地元産の物だけにこだわって品揃えをしているスーパーが登場するくらいです」
こう話すのは、流通小売業界に詳しいコンサルティングのスペシャリストである岩崎剛幸氏だ。
「休みの日や記念日に、ちょっとした“プチ贅沢”を楽しむという消費のニーズはすごく高まっています。自分の好物にはこだわりたい、というお一人様需要もある。これが昨今のクラフト業界のブームを後押ししていますね」(前同=以下コメントは岩崎氏)
広がりを見せるクラフト業界。盛り上がりのきっかけはなんなのだろうか。
「コロナ渦になって、家飲みが盛んになり、デリバリーや定期購入を進めていく消費者が増えました。結果、クラフトビールが一大ブームとなったのです」
現に醸造所の数も右肩上がり。2023年には醸造所が全国で過去最多となる700か所を超えたという。
「クラフトビールをきっかけにクラフト業界が注目を集めた。チョコやドレッシングなどクラフト商品の種類は近年一気に増えましたね」