■板垣李光人・中島裕翔の絡みを重視か
一方で、《鈴木が生きてる時の事件に改変したせいで、青木のセリフを薪が言う展開になり、キャラブレが発生してる感じだな》《薪さんをこの先ずっと苦しめる元凶の貝沼を、警察側の人間として取り扱うことが本当に許せない》など、時間軸を変えたこと、連続殺害事件の犯人である貝沼(國村)をMRI開発者に変えたことに、怒りにも近い不満の声が集まった。
おそらく、貝沼のキャラ変更は原作にあるグロシーンを極力、出さないようにするため。また、ある事件によって亡くなっている鈴木(中島・二役)が、いないはずのエピソードに登場したのは、原作のエピソードをドラマの尺に収めるためだろう。ドラマ化のため仕方ない部分ではあるが、原作ファンはガッカリだろう。
この改変はまだ続きそうだ。公式サイトには「かつてないほど切ないバディに」とうたっていて、しばらくは、薪と新米捜査員の青木、あるいは今後、亡くなるであろう親友の鈴木との関係がメインになりそうだ。実際、初回も薪と鈴木が絡むシーンは多く、2人が寄り添う姿にファンは身悶えていた。原作は事件に焦点が当てられるが、ドラマはバディの描写を重視しそうだ。
今後もこのような改変が重ねられると、原作の持ち味である事件の流れや、その顛末を描写する余裕が少なくなったり、矛盾が発生してくるかもしれない。そうなると、また原作ファンから不満が吹き出すだろうし、ストーリーが薄味になりそうで心配だ。
原作に改変を加えても、別物として高く評価されるドラマも多い。公式サイトで脚本の佐藤嗣麻子氏は「清水玲子先生の作品は総て大好きで、ファンです」とコメントしており、原作へのリスペクトのある改編によって、本作が視聴者の納得のいく展開になることに期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。