■川口春奈と松村北斗がいればいい

 X上では《取り上げる事案が「夫婦で裁判の前にもっと話せや…」みたいな内容でズコーッてなる》《宇井と自分のエモい動画は普通に見れるのに、踏切の音はトラウマで耐えられないヒロインおもろすぎる》《なぜか瀬奈の居場所を突き止めて現れて、土砂降りなのに傘を差し出すんじゃなくてマフラーを巻く真戸原、普通に激ヤバだろ》などの声が。

 また、メインの2人以外についても、《あらためて相関図を見ると、まさかの真戸原父が大きな秘密を抱えてるし、宇井も大きな秘密抱えてるし、その宇井の娘は12歳だから瀬奈と付き合ってる間に産まれた子ってことになるし、これは頭抱えるわ》などさらなるややこしい展開がありそうな設定に、困惑まじりのツッコミがある。

 早くもトンデモドラマ化しつつある本作。視聴者の指摘の通り、各人がやたらに秘密を抱えているが、どう考えても、話が混乱するだけのような気がする。同枠でトンチキドラマだと話題になった、櫻井翔(43)主演の『占拠』シリーズ同様、テレビを見ながらスマホでXのツッコミ合戦を眺めるのは楽しいがーー。

 それでも、1話、2話と続けての瀬奈と真戸原のキュンラストは、整合性は別として、やたらに美しかった。これを見せるために作っているかのような、キュン特化型のドラマに思えてくる。ラストまではツッコミを入れながら楽しんで、最後にキュンを味わうのが、今作の正しい見方なのかもしれない。ひとりで楽しめる配信の勢いが落ちないのも納得だ。

 結局、川口春奈と松村北斗の顔面と演技が本作の最大の魅力であり、その前では物語の整合性は吹き飛んでしまうのだ。それだけでは最後までもたないような気がするが、今の2人の輝きようならば、しっかりと引っ張ってしまうかもしれない。いろいろな意味で目が離せないドラマだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。