■ストーリーが破綻している『アンサンブル』だが
瀬奈と真戸原のキュン部分は、今回も相変わらず強力だった。しかし、瀬名が真戸原に思いを寄せる具体的なきっかけ、宇井や真戸原の過去、宇井と瀬奈の母親の関係がほとんど描写されていないため、視聴者にとって不可解なシーンが連続することに。もはや整合性はどこにもなく、ストーリーが破綻していると言ってもいいだろう。
こうなると本作の見どころは、最後のキュンシーンぐらい。松村北斗フィーチャーの作りになっていて、松村ファンは両手をあげて喜んでいるかと思いきや《ほんと意味わからな過ぎるけど松村北斗の胸キュンシーンを見るためだけに見てる》《視聴者が喜びそうなシーンを無理矢理繋ぎ合わせた感が更に強くなった》などの声が。ファンですら、このストーリーに納得していないようだ。
出演ドラマの反響の大きさ、演技の評価の高さから、制作側が松村北斗をフィーチャーしたいのはわかる。ただ、キュンを誘う展開を優先するあまり、物語がグダグダになってしまっては意味がないし、当て馬の役割になっている、くせ者俳優・田中圭も無駄遣いになってはいないだろうか。
それでも、配信サービス・TVerのお気に入り登録数は81.5万(4日午後3時現在)と、数字は悪くない。ツッコミを入れつつも、松村を愛でている視聴者が多いということだろう。あまりに松村依存がすぎるように思える『アンサンブル』だが、狙いとしては間違ってはいないようだ。さすが松村と言うべきなのだろうか……。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。