■薬剤師&専門医が教える頼りになる市販薬

 食材で対策ができるのが一番だが、すでに出てしまった症状を抑えるには、やはり薬に頼らざるをえない。しかし、病院は、すでに花粉症の患者で長蛇の列。行っている時間が取れないような人は、市販薬に頼ることになるだろう。

 まず内服薬について、『なかいまち薬局』(神奈川県)の代表で薬剤師の漆畑俊哉氏は、こう言う。

「花粉症の内服薬は、原因物質のヒスタミンの働きを抑えて症状を軽減する抗ヒスタミン薬ですが、これには第1世代と第2世代があって、効き方と副作用に違いがあります」

 ヒスタミンは脳の覚醒にも関わる物質のため、その働きを抑えると眠気などの副作用が生じる。以前から販売されていた第1世代に対し、副作用を抑えた改良版が第2世代だ。

「効き目が強いのは第1世代。すぐに鼻水を止めたいなど、即効性を求める人にオススメ。一方、毎日、定期的に服用する場合や眠気などの副作用を抑えたい人は第2世代がオススメです」

 また、前出の浅井氏は、 「抗ヒスタミン薬が合わないと感じた人は、花粉症やアレルギー性鼻炎に用いられる小青竜湯などの漢方薬を服用する選択肢もあります」

 症状や体質、用途によって使い分けるのがいいだろう。

 点眼薬にも選ぶポイントがある。

「アレルギーを抑えるには抗ヒスタミン薬剤が最適ですが、ちょっと高価です。頻繁に使うならアレルギー抑制よりも、メントール入りなど爽快感を売りにした低価格の物を選んだほうがよいかもしれません」(前出の漆畑氏)

 花粉を物理的に洗い流す役割もあるので、爽快な差し心地のものを、こまめに使うのも手だという。

 また、点鼻薬にもステロイド薬と血管収縮薬の2種類がある。ただし、 「血管収縮薬は即効性がありますが、継続して使うと鼻の粘膜がむくんで鼻炎が悪化する恐れがあるので要注意です」(浅井氏)

 生理食塩水による鼻うがいも、鼻づまり解消の有効な手段だという。

「鼻の粘膜に付着した花粉や、粘り気の強いドロッとした鼻水を洗い流すことで、鼻づまりが緩和します。

 鼻うがいをするなら鼻水を出し切らないと意味がないので、1回200㍉㍑以上の大量の水で洗い流すのがコツです」(前同)

 これからが本番の花粉シーズン。ご用心を!

浅井偉信 あさい いのぶ: 秋田大学医学卒業。現在は、呼吸器・アレルギー専門診療を行う『茅ヶ崎内科と呼吸のクリニック』(神奈川県茅ヶ崎市)の院長。
漆畑俊哉 うるしばた しゅんすけ:東京薬科大学卒業。薬学博士。薬剤師。『なかいまち薬局』(神奈川県足柄上郡中井町)の代表取締役。