■フジテレビの長時間記者会見が影響か

 ドラマでは放送できない原作のグロシーンの割愛や、貝沼(國村)のキャラ設定の変更は、テレビの尺に収めるための改変だったようだが、漫画の世界観を損なうことなくまとめたことが、原作ファンの高い評価につながった。また、原作者の清水氏も1・2話から着想を得て、特別編『秘密season0』を描いていたことを連載する『メロディ』編集部がSNSで明かしている。これは、十分なお墨付きと言えるだろう。

 ただ、評価は高いものの、配信サービスの数字は伸びていない。TVerでは、お気入り登録数が39.6万(すべて6日午後1時現在)で、ドラマ部門の22位。深夜ドラマの中に埋もれている残念な状態だ。考察のためにじっくり見られるサスペンス系ドラマは配信で有利なはずだし、内容的にも上位に入っていてもいいはずだがーー。

 これは、フジテレビが行なった1月27日の記者会見の影響があるだろう。会見の生放送は10時間以上におよんだため、本作は放送休止に。初回は物語の全体像を見せただけのため、ファンをつかみきれていなかった。また、ただでさえわかりにくい設定だったこともあり、放送が延期された1週間で、視聴者の頭からこのドラマのことが抜け落ちてしまった可能性は高い。

 一方、同じく休止となった月9ドラマ『119エマージェンシーコール』は、TVerのお気入り登録数が89.1万と好調だ。こちらは第2話まで放送が進んでいて、すでにファンをつかめていた。もし、予定通りに『秘密』の第2話が放送されていたら、ここまで落ち込まなかったのではないだろうか。

 しかし、原作ファンはもちろん、原作未読の人も見ないのはもったいない出来の本作。新たに登場する新米捜査員・青木(中島・二役)、薪(板垣)の片腕的存在で、情にもろくて人間臭い岡部(高橋努/46)など、魅力的なキャラも多く、池脇千鶴などのゲスト俳優は実力派揃い。見ていない人には今からでも視聴をおすすめしたい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。