■なぜ『ブラッシュアップライフ』は『大病院占拠』に勝ったのか
『大病院占拠』は、櫻井演じる主人公の武蔵三郎の緊張感に欠けるアクションシーンや病院を占拠するテロリスト集団の鬼の正体探しなど、ある種の“トンチキドラマ”としてコア層から一定の支持を得ていた。今回『ブラッシュアップライフ』は、なぜ『大病院占拠』を上回ることができたのだろうか?
本サイトはドラマにかんする記事を多く執筆し、『週刊フジテレビ批評』(フジテレビ系)などにも出演している吉田潮氏に詳しく話を伺った。
『ブラッシュアップライフ』が『大病院占拠』のコア視聴率を上回ったことについて、吉田氏は「当然でしょうね」と話す。
「『大病院占拠』は中途半端なクライムアクションで、どうしても安っぽく見えてしまうんですよね。大風呂敷を広げたのはいいものの、銃撃戦に迫力がなく、櫻井さんのアクションもキレがない……。前半は1話ずつ鬼の正体が判明したのですが、視聴率が高かった理由はそこにあったのではないでしょうか。鬼の正体を知った後、“物語のその先”への興味が続かなかったな、という印象です。警察組織の中が腐っている、という展開もどこかで見たことがあるような話で、飽きてしまう人も多いのでは。
やっぱりドラマ全体を通しての面白さは『ブラッシュアップライフ』が大きく上回っていると思います」(吉田潮氏=以下同)
『ブラッシュアップライフ』は安藤演じるヒロイン・近藤麻美が夏帆(31)演じる“なっち”こと夏希と木南晴夏(37)演じる“みーぽん”こと美穂、幼馴染の2人を飛行機事故の運命から救うため、人生を何度もやり直す……というあらすじだ。
「そもそも知識や経験を持ったまま人生をやりなおすこと自体うらやましい設定ですし、おそらくそこが全世代の心をつかむ理由なのではないでしょうか。
もちろん麻美自身も努力するんですが、人生を何度もやり直すなかで、最初は公務員だった人生から、経験、知識を得てさらにエリートになっていく構成もおもしろい」