■『クジャクのダンス』迷宮の果てには……

 本作が、考察を盛り上げるのが“うまい”ところは、わかりやすいヒントとわかりにくいヒントを織り交ぜているところ。今回の鳴川はいかにも怪しいのだが、だからこそ、ミスリードさせようとしているのではないか思ってしまい、視聴者は迷宮に陥る。結果、考察が過熱していくのだ。

 ただ、なかなか進まない話にもどかしさを感じている視聴者もいるようで、《話がどこに向かっているかの見通しが立たなくて、見ている自分が迷子になってる気がしてきた》《魅力的なキャスト、音楽、演出ではあるんだけど、話が真相に近づかないので、もどかしい。今回ぐらいで阿南検事を操る男を明かしてもよかったような…》などの声も。

 ここまで煽られると、最後のオチが気になるところ。漫画原作は先に最終回を迎えたが、SNS上でその反応を探ると、絶賛でもなく批判でもなく、微妙なところ。はたしてドラマでは、ラストをどう描くのだろうか? ここまで焦らされた視聴者の期待値はかなり上がっている。肩透かしなオチでは、一気に不満が爆発することは間違いない。

 ドラマの物語も終盤に向かっていて、3月7日放送回は心麦と松風が、春生が遺した手紙に名前が記されていた5人のうち、まだ姿をあらわしていない3人の中の“阿波山京一郎”と“高畑まのか”に会いにいく。最終回まで謎を引っ張りそうだが、どんな展開になるのか注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。