3月初めの、ある朝のこと。本サイトの編集部に怒声が響き渡った。
「大変だ! 小諸そばで、いか天の販売が終了しちゃったんだ!!」
こう叫んだのは、上京してからの40年の間、週に2、3回は小諸そばに足を運び続けているという編集部員。 “小諸そば3000食を食べた男”として、社内でも有名なベテラン社員だ。ちなみに『小諸そば』は、東京都内を中心に50店舗以上の立ち食いそばの店を展開する外食チェーンである。
「やっぱり、そばにはイカなんだよ。特に小諸そばは、天ぷらの上からつゆをかけるのではなく、上に乗せてくれる。僕は天ぷらを天つゆではなく、そばつゆに浸して食べるのが好きなんだ。そばつゆを含んだ柔らかい衣の食感が堪らないからね。でも、サクッとした食感も捨てがたい。だから小諸そばがベストなんだ」
小諸そばを語り出したら止まらない“小諸そば3000食男”は、口角泡を飛ばしながら、さらに続ける。
「僕はいつも、小諸そばでかき揚ゲソそばにいか天をトッピングしていたんだ。かき揚げといか天の単品の値段は一緒なのに、いか天そばよりかき揚げそばのほうが10円安いから、いか天そばにかき揚げをトッピングするよりも10円お得だったんだよね。
えっ? なんでかき揚げかって? それはね、僕の知るかぎり、大手立ち食いそばチェーンの中で唯一、小諸そばのかき揚げだけが、イカゲソ入りだからだよ」
どれだけイカが好きなんだよと思いつつも、話に引き込まれていく編集部員一同。しかし、肝心の“いか天”がないのでは話にならない。
「実は僕、どちらかというと、いか天よりもゲソ天のほうが好きで。いか天はなくなったけど、2月から茅場町、新橋、神保町、西新橋一丁目、代々木、銀座七丁目の6店舗限定で“ジャンボゲソ天そば”が販売開始されて、3月6日から新定番商品になったんだよ。つまり、ゲソ天ならまだ食べられる。だから今は、そこまで切実じゃないんだ。ただ、ゲソ天の単品はないから、ゲソ天そばにかき揚げをトッピングするしか手段はない。かき揚げそばが480円なのに対して30円高い510円なんだけど、まあ、それはしかたないよね」(前同)