日々、流行の最前線を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が、社会の今を徹底分析。令和のコメ騒動でコメ価格が高騰する中、日本人のソウルフードであるおにぎりにも高価格化の波が押し寄せていた。
3月10日に放送された『news every.』(日本テレビ系)によれば、コメの価格が高騰する中でコンビニなどでは高いおにぎりと手に取りやすいおにぎりとの価格の“二極化”が進んでいるそうです。
この価格差は消費者の選択肢を広げつつも、購買行動にどのような影響を与えているのでしょうか。
2024年3月にオープンした都内のおにぎり専門店『おむすび&和カフェVathbow』では、1個450円という価格設定が話題に。使用するコメは厳選されたコシヒカリで、産地にこだわりつつ、できる限り良質なものを仕入れる方針をとっているのだとか。
こうした専門店が“ふんわり握った大きなおにぎりに豊富な具材を詰め込むスタイル”で人気を集めたことにより、コンビニ各社もこれを意識。ローソンの『金しゃり』シリーズや、ファミリーマートの『ごちむすび』シリーズなど、専門店レベルの具材と品質を備えた高級商品を投入し、消費者に支持されています。
この価格設定に対しては“ちょっと高い”と感じる人も少なくありませんが、その一方で、握りたての美味しさや高品質な具材を楽しむために購入する消費者も一定数存在しています。
ミニストップでは具材を抑えたり、のりを巻かないなどの工夫によって本体価格98円(税抜き)のおにぎりを発売。同時に280円(税抜き)の高級おにぎりも併売することで、消費者に幅広い選択肢を提供しています。
「おにぎりを1個だけ買うことは少なく、2つの価格帯を設けることで、“一つは贅沢な高級おにぎり、もう一つはリーズナブルな定番おにぎり”という選択をしやすくなります。実際、“高級品と安価品をセットで購入する”という購買行動はさまざまな市場で見られ、理にかなった戦略と言えます」(広告業界関係者)