■すべてが重く暗かった『アイシー』
原作漫画をリスペクトし、その世界観を壊さぬよう配慮。きっちりとドラマサイズに落とし込んだ制作陣の力量は素晴らしかった。原作ファンも称賛するほど、漫画の登場人物を見事に演じた、板垣と中島も素晴らしかった。ただ、GP帯の連続ドラマにしては、内容があまりに暗く重かった。
俳優として華も実力もある門脇麦(32)の出演が増えてから、その重さは少し緩和されたが、それでも、連続少年殺人、新種のウィルス感染、集団拉致事件を発端にした外務大臣の娘の誘拐など、ズシンと響くストーリーが展開された。ある意味、見る人を選ぶドラマになってしまったのが敗因だろう。
暗さ重さでいえば、『アイシー』も同様だ。“カメラアイ”と呼ばれる瞬間記憶能力を持つ刑事・柊氷月(波留)が、忘れたくても忘れられない過去と向き合いながら、事件解決に奮闘していく新感覚の刑事ドラマ。氷月が「氷の女王」というキャラ設定だからしかたないが、終始、無表情な波瑠を見せられ続けるのは、正直、気持ちがドンヨリしてくる。
また、シリアス路線のわりに、瞬間記憶というほぼ超能力のような力で事件解決に至るのも、どこかチグハグ。いっそ、主人公の特殊な能力を全面に出した、なんでもありな荒唐無稽な内容だったら、少しは支持されたかもしれない。
『119』以外は惨敗に終わったフジテレビのドラマ。中居氏の女性トラブルに端を発した問題の影響で、ロケ場所を確保しにくいという声が聞こえるが、春ドラマは小泉今日子(59)と中井貴一(63)がW主演する月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』など話題作が多い。今後に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。