■中居氏の女性トラブル騒動がなければ……

 同じ日に松本は“隠”され、紳助氏は過去の雄姿が画面に写されたわけだが。この差はなぜ生まれたのか。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏が、その背景を解説する。

「まず番組が取り上げるに当たって、大きいのは“紳助さんは完全に引退して、かつ何年も経っている”ということです。引退は13年以上前とすでに過去の人であり、仮に番組が紳助さんの映像を出したところで、紳助さんのメリットにはなりません。ただ紳助さんを慕う芸人は今も多い。昨年『M-1グランプリ』で紳助さんの直筆メッセージが紹介されたように、まだまだ影響力があるので、番組としては紳助さんを無視する理由がありません。

 一方で松本さんの場合、昨年末にはインタビューに応えるなど、復帰して芸能活動をする意欲を示しています。そして今まさにフジは中居正広さん(52)の女性トラブル騒動で揺れに揺れている真っ最中。今、『ワイドナショー』で女性トラブルがあったと報道された松本さんを大々的に持ち上げるのはリスキーでしかない。松本さんを出すメリットよりもデメリットが上回るのは確実です」(鎮目氏)

 松本といえば、3月5日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)にて、「水曜日のダウンタウン出演率ランキング」として過去映像が流れるなかで画面に映る瞬間があったが、TBS関係者は「予想以上に局にクレームがあったと聞いている」と声を潜める。前出の鎮目氏が、“他局の動向ウォッチ”について、民放のリアルを語る。

「基本的に不祥事のあったタレントの扱いについては、どこも他局の動向を見ながらほぼ横並びになっていくものです。『水ダウ』での松本さん映像とその時の視聴者の反応を今のフジが把握していないわけはない。TBSは“観測気球”的な意味合いもあったのかもしれませんが、今回、TBSとフジでは事情が違いすぎました。その意味で、中居さんの件がなかったら、松本さんの扱いはもう少し違っていたかもしれませんが」(前出の鎮目氏)

 3月31日には、第三者委員会の報告書により中居の性暴力が認められ、社としての関与も否定できなくなったフジテレビ。女性トラブルを起こしたタレントの扱いは、今後ますますシビアにならざるを得ないだろう――。

鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)