インフレが止まらないまま、新年度がスタートした。

 全国で賃上げ交渉の声が叫ばれる中、注目されているのが“第三の賃上げ”といわれる「福利厚生」の充実だ。

 働き方評論家の常見陽平氏はこう語る。

「福利厚生の中には、企業側にとっても税金対策になる取り組みもあります。例えば今流行っているものだと、“奨学金肩代わり制度”。これは企業側も税制上の優遇を受けられるんです」

 給料があがれば徴収される税金も増える一方、福利厚生なら、社員はその恩恵を丸々受け取れる。そんな、社員と企業の双方に利点がある福利厚生制度も、時代とともに変化しつつあるという。

「働き方改革、共働き・共育てが当たり前の世の中になりつつある。こうした社会の動きに対応しながら、福利厚生のあり方も多様化しています」(常見氏=以下同)

 ここでは、各社の組織風土によっても様々な“ありがたい&面白い福利厚生制度”を紹介していこう。

 まず注目したいのが子育て支援手当てだ。

 株式会社アキュラホームでは、出産祝い金を支給する『しあわせ一時金制度』を導入。第一子の出産時に30万円、第2子は50万円、第3子以降は1人ごとに100万円ずつ支給されることが、同社公式ページでも発表されている。

「20年ほど前からこういった制度はありましたが、最近は支給される金額も高額になっています。以前は第3子が生まれたら100万円という制度がありましたが、第1子や第2子にも支給され、第3子がさらに高額になるというのが最近のトレンドですね」

 お次はフリー飲食&フリーアルコール制度。なかでも株式会社SmartHRは退勤後の18時以降、オフィス内の冷蔵庫にあるドリンク(アルコール&ソフトドリンク)を自由に飲むことができる。

「より仕事に集中できる環境作りや、物価高対策の生活応援という側面もあると思いますが、社内のコミュニケーション活性化にもいい制度。ちゃんとした飲み会は予算や手間がかかりますが、社内で手軽に乾杯出来るとは面白い制度ですね」