■“スイートルーム飲み会”38万円を「番組経費」とする「メリット」

 Xでは、

《不同意性交目的のホテルのスイートルーム38万円強、経費で出してくれる会社ってあるんやな》

 と、フジの経費確認の杜撰さに呆れるほか、

《接待交際費ではなく番組制作費にしてたということは、経費誤魔化してたということで脱税案件にもなったね》
《税務署がきっちり調べたら脱税になるのでは?》

 など、“脱税案件”ではないかと指摘する人も多い。

 実際、今回の「スイートルームの会」の費用約38万円は、「脱税」行為になるのか。東京・世田谷区の落合会計事務所で代表を務める税理士・落合孝裕氏に話を聞いた。

 まずタレントという、企業にとって良好な関係を築きたい相手との飲食代の“名目”について。

「そもそも『経費』とは仕事上、業務に関連する費用のことです。接待など、タレントとの飲食代であれば通常『交際費』として立て替え、会社に請求する処理が考えられます。

 交際費とは得意先や仕入先など、事業に関係ある方を接待する目的でかかる経費のことで、資本金が1億円以下の中小企業の場合は、年間800万円までは損金(=税金を計算する際に差し引ける経費)という枠がありますが、資本金が100億円を超える法人の場合、交際費はその全額が税金対象となります。そのどちらにも当てはまらないフジ(資本金88億円)のような場合、交際費として処理できるのは、交際費のうち接待飲食代の50%です」(落合氏=以下同)

 本来であれば「交際費」である“スイートルーム飲み会”費用を「ロケ等施設使用料」とすることで、フジテレビ側にはどういったメリットがあるのか。

「本当にロケの現場で使っていたとしたら、業務上必要な経費ということで全額が損金になり、税金の対象とならないので大きなメリットがあるでしょう。一方で、接待を目的とした飲食代については『交際費』扱いとなり税務上のメリットが少なくなることに加え、相手先や人数を明記する必要があり、社内的に通しづらかったという事情もあったかもしれません。

 ただし、これが単なるプライベートな支出だったということであれば、取扱いはさらに厳しくなります。この場合、“会社から社員への賞与(ボーナス)”扱いになるので、給与課税の対象となります。仮に役員だった場合は『役員賞与』となり、その全額が損金となりませんので、会社・個人両方で課税されることになります」