■フジテレビを待ち受ける「今後の追及」

「脱税」とは、売上の除外や、支払いがないのに架空の領収証で経費計上するといったケースが該当する。今回の場合どういう判断になるか。

「(交際費を)ロケ等施設使用料として一般経費に計上したのであれば、今後の税務調査で否認されて、法人税、所得税の追加払い、さらに加算税、延滞税のペナルティの納税となるでしょう。さらに、全く業務とは関係ないプライベートな支出ということであれば、重加算税が課される可能性も十分あります」(前出の落合氏)

 つまり“脱税”とまではいかないものの、追加の税負担が生じる可能性は極めて高いということだが、フジテレビの場合、問題は今回だけに済まされなさそうだ。

「上場会社ですので、これだけ問題が大きくなると、仮に本人から返金があったとしても、株主総会で株主からはこれまでの会社の経費の使途について、厳しく追及される可能性があると思います」(同)

 4月3日、フジHDの大株主であるダルトン・インベストメンツは、報告書を踏まえて「危機意識のない経営陣の下、フジテレビのテレビ事業・メディア事業が衰退してきたことが世間に明らかになりました」とバッサリ。フジHDの金光修社長、フジテレビ社長でもある清水専務、社外取締役3人ら計5人の経営陣について、「仮に、信頼回復措置を実行するための暫定的な役割を担うのであれば、退陣の時期を明らかにすべき」と糾弾している。

税理士 落合孝裕
1983年横浜市立大学文理学部(元国際教養学部)卒業。大手食品メーカーを退職後、91年税理士登録、96年落合会計事務所を開業。中小企業向けの会計・税務、資産家向けの相続税・贈与税を専門とする。テレビ局・新聞・雑誌への取材・執筆実績多数あり。