■松田元太とヘイテツの両並び

 また、予告動画を見る限り、かなりコメディタッチなドラマのようだ。共演陣は、ヒロイン役の前田敦子に加え、松本まりか(40)、桜井日奈子(28)、鈴木保奈美(58)など、コメディ慣れした面々をそろえていて、松田のフォローは完璧と言ったところ。これなら、ドラマ自体はウェルメイドなものが期待できる。

 その共演陣で気になるのがヘイテツ(22)だ。韓国と日本のハーフで、22年からSMエンタテインメントの練習生として韓国で活動。グローバルグループNCTの新グループ、NCT WISHオーディションで注目を集めた。24年に活動拠点を日本に移すと、稲垣吾郎(51)、草なぎ剛(50)、香取慎吾(48)が参加しているCULEN(カレン)に合流した。

 そして、今年1月期の連続ドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系)で、香取演じる主人公の元部下を演じて本格俳優デビュー。ヘイテツも現在、松田と同じく売出し中で、俳優路線。STARTO ENTERTAINMENT期待の松田を起用する一方で、フジテレビはCULENとのつながりも強めようとしているようだ。

 フジテレビでは、3月31日に第三者委員会が会見を開き、公開された調査報告書の中には、同局の女性アナウンサーらによるセクハラ被害の告白などがあったため、スポンサー離れの逆風はしばらく続きそうだ。そのため、『人事の人見』での松田とヘイテツの起用は、勝負に出るというより、将来のための種まきの意味合いが強いのだろう。

 そういう意味では、本作は“失敗してもいい”、“将来の可能性が感じられればいい”ドラマなのかもしれない。松田とヘイテツの実力はまだまだ未知数だが、フレッシュな2人の演技に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。