■フジテレビの番組は「基本的に人ありき」

 前出の民放キー局関係者が話す。

「B氏は若手社員時代に『めちゃ×2イケてるッ!』に携わり、ダウンタウン松本人志さん(61)と中居氏の冠番組『まつもtoなかい』(ともにフジテレビ系)を立ち上げるなどの実績を重ね、ついにはテレビ局の中枢である編成のトップにまで出世したんです。

 一部ではB氏が“次の次の社長”になると周囲が話していたという報道もありましたが、B氏は有力なタレントを接待し、番組に出てもらうことで出世街道を邁進してきたわけです。指摘する声も多くありますが、フジテレビの番組は企画以上にキャスティングが重視される傾向にありますからね」

 件の『Mr.サンデー』でも古市氏が「基本的にフジテレビって人頼みじゃないですか? 『Mr.サンデー』も宮根さんがいてくれるから何とかなる」と切り出し、「キャスティングして、出役さえそろえちゃえば、“あとは何とかしてね”っていう」と、フジテレビの番組作りについて指摘。

「基本的に人ありきっていうか、人が何とかしてくれるって番組、めちゃくちゃ多くないですか?」と投げかけると、フジテレビOGの長野も「多い」と同意し、「フジテレビって冠番組が多いですよね。だからどうしても良いコンテンツとか、面白いコンテンツとかを作るよりも、有名人とのパイプが太い人がどんどん評価されたり、偉くなったりという傾向はあるんじゃないですか」と断じていた。

 さらに古市氏は「日テレとかって台本もしっかりしているし、出演者が代わっても同じような番組を作り続けられるけど、フジテレビはどうしても出演者にすごい依存しているというか、出演者頼みのところが多い」と続け、「こういう仕事の仕方、B氏みたいな仕事の仕方になってしまったのかな」と分析していた。

■“結果さえ出したらいい”仕事のやり方で“次の次の社長”にまでのぼり詰めたB氏

「テレビマンは企画をとことん練ったり、編集にこだわりまくってVTRを面白くしてやろうなどと意欲に燃えるクリエイティブなタイプと、タレントとの人脈を築き、キャスティング力で番組を成立させるタイプに分かれます。

 B氏は、早い段階で前者をあきらめ、後者に全力を注ぐようになり、人気や数字を持っているタレントと関係を作って番組に出てもらう、冠番組を持ってもらうという仕事のやり方になったといいますね。それが、結果的に局を揺るがす事態にまで発展してしまったわけですが……。

 ただ、B氏のやり方も悪いわけではありません。実際に中居さんや石橋さんのような人気タレントをキャスティングできることは局としてもありがたいことですしね。しかし、結果、そういったタレントをキャスティングするため、“置き去り”などハラスメントを含む過剰な接待も辞さなくなったのではないでしょうか」(前同)

 第三者委員会の報告書では、B氏自身のセクハラ行為も断罪されている。

 報告書によると20年頃、後輩の女性社員を食事に誘った際、キスを迫るなどのセクハラ行為があったという。また、23年にも後輩女性から仕事の相談を受けたことをきっかけに食事に誘い、下ネタを発したうえに体を触ったりキスをしたとされる。第三者委員会は《自身よりも立場が弱い後輩女性社員に対して性的に接触する行為であり、悪質性が高い》としている。

「かねてよりフジテレビ局内には、B氏の裏の噂はさまざま飛び交っていたといいます。それは他局にも届くほどのものだったのに……そんな話は聞こえないものとして、港氏は彼を重用し、“次の次の社長”と本人が言うまでのし上がったと。

“結果を残したものが一番偉い”――B氏はそうしたフジテレビの人事評価制度で評価されて出世してきたわけですが、彼に厳しい処分が下らない限り、フジテレビは本当の意味で生まれ変われないとももっぱらです。

 騒動の前まで当たり前だった、人権意識やコンプライアンスは軽視され“結果さえ出したらいい”というB氏が先陣を切るように行なってきた仕事のやり方、それに伴う人事制度を変えられるかが、“中居氏・フジテレビ問題”の最大の論点であり、課題だと関係者の間で言われていますね」(同)

 中居氏に続き、石橋のハラスメント疑惑も浮上してさらなる物議を醸しているフジテレビ。第三者委員会の報告で明らかになった同局が抱える問題を体現してきたB氏には、どのような処分が下されることになるのだろうか。