■「松屋」の牛丼にも使われているカリフォルニア産米

カリフォルニア産「カルローズ米」。牛丼チェーン「松屋」でも使用されている。(撮影:編集部)

 カリフォルニア産の「カルローズ米」は、国産と同じ“ジャポニカ米”で、食べやすさが魅力。

「小粒で粘りが少なく、さらさらとした食感。朝ごはんに向いていますが、甘みやもちもち感は国産米に劣ります。丼ものやチャーハン、リゾットに適しています」(五つ星お米マイスター・西島氏、以下同)

 同じくジャポニカ米の「オーストラリア米」には、南半球ならではの特徴もある。

「冬に収穫される新米は、風味が軽く、やや硬めの食感。粘りを求める日本人には物足りないかもしれませんが、独特の食感は試す価値があります」

 生産量が日本米以上とも言われる「ベトナム米」は、今年2万トンの輸入が予定され、「日本産に並ぶ」との声も。

「一昔前は味も食感も低評価でしたが、品種改良が進み、今では品質も大きく向上しています。外国米の軽い食感は、味噌やせんべいといった加工品にも最適です」

 国産米に最も近いのは、台湾の「台湾米」だという。見た目もほとんど変わらない。

「日本の品種をルーツに持つため似ていますが、台湾には日本のような明確な四季がないため、粘りはやや弱めです」

左がジャポニカ米、右がインディカ米。世界的にはインディカ米の生産量が最多だが、日本人の舌にはジャポニカ米がなじみ深い。(写真:photo AC)

「タイ米」は長細い形状の“インディカ米”で、部屋で炊くと独特の香りが広がる。

「中でも『ジャスミン米』はタイ米の最高級品ですが、“ネズミの小便”とも称されるほど強い香りが特徴。平成5年の米不足時には、その香りに馴染めず、鳩に与えるなどの事例が社会問題になりました。しかし、パラパラした食感はパエリアや中華料理にぴったりです」

タイ産「タイ米」。香りは強いが、使い方次第で安く、おいしく食べられる。(撮影:編集部)

 とはいえ、輸入米も価格上昇が続いている。西島氏は、政府にさらなる備蓄米の放出を提言する。

「現状の倍量を放出し、市場を飽和させることで、価格上昇を食い止めてほしい。消費者も備蓄米に対するマイナスイメージを払拭し、積極的に食べてもらいたい。国産米こそが和食の原点なのです」

 何気なく食べていた、安価でおいしい国産米のありがたさが、いま改めて実感されている――。

五つ星お米マイスター・西島豊造
東京都目黒区の米専門店「株式会社スズノブ」代表取締役。地域ブランド米による地域活性化にも尽力。