■当事者のコスプレイヤーに話を聞いた
本サイトは、特にXで議論の的となっているnoteの記事『万博をコスプレで楽しんだので所感や注意点をまとめる』を書いたコスプレイヤー・鹿乃つのさんに話を聞くことができた。以下が、やり取りとなる。
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――鹿乃つのさんが万博会場でコスプレをしたことで大きな騒動となっていますが、なぜ万博会場でコスプレをしようと考えたのですか?
「私は、普段から漫画『ダンジョン飯』(KADOKAWA)のエルフのキャラクターであるマルシル・ドナトーのコスプレをすることが多いんです。親友を助けるためにダンジョンに潜り、ダンジョンの魔物を食しながら冒険をするお話です。マルシルが万博で研究を見たり、ご飯食べて喜んだり驚いている様子を考えたら、楽しくなっちゃって。
万博は開催前からいろいろ批判の声もあって悩んでいましたが、それはどうでもいいから“マルシルが万博にいる”という状況を楽しみたくて。コスプレをして、万博へ行きました」(鹿乃さん、以下同)
――すると、コスプレを楽しむ目的で大阪万博を訪れたんですか?
「コスプレを楽しむというより、『コスプレの衣装で、キャラがいる物語性も含めて、万博を楽しむ』という感じ。万博自体は仕事で関西に行くついでに、記念に行ってみようかなという温度感です。そこでマルシルが万博を“冒険”しているところを想像したら楽しくなって自分が幸せになったので、行こうかなと。ちょっと意味が分からないかもしれませんけど、それが私の推し方です(笑)」
――今回の炎上騒動ですが、万博にコスプレで来場するのを反対する人たちの意見にも説得力があるという声も寄せられています。ルールが細かく書かれていませんから、露出が行き過ぎた格好や軍服など、問題に発展しそうなコスプレをする人が出そうと言うのは、あり得る話ですよね。
「本来ならコスプレイベントって、“こういうデザインの武器はNG”とか、肌の露出度合いとか、かなり細かくルールが定められているんですよ。それに普段から参加している身からすると、万博の出したルールの少なさには驚きました。
だから、自分で言うのもなんですけれど、私のコスプレが露出もなくて、万博の“探検”や“研究”の雰囲気にも似合っていて、かつ会場でのマナーも意識できるから良かったですけど、マズいコスプレで行こうとしている人がSNSで見受けられるのも事実です。
そういうものを見て『本当にこのルールで良いのか』という議論を、ディベート文化のない日本の人がこんなに活発に行なっているのは、歴史的にみても非常に珍しいと思います。だから今回の件、私は炎上とは思っていないんです」