ウルトラマンZ』(テレビ東京系、2020年に放送)の主人公を務めた俳優の平野宏周(26)。ここ数年はさまざまな役を演じ、さらには『日立 世界・ふしぎ発見!』(TBS系)でミステリーハンターを務めるなど幅広い活躍を見せている。

 さらなる躍進が期待されるなか、6月20日(金)より配信がスタートした、同性同士の恋愛を繊細に描いたドラマ『被写界深度』(FOD)では主人公のひとり・紺野遼平役を演じている。そんな若手有望株俳優である平野さんに今回、直撃インタビューを行なった――。

撮影/冨田望

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――6月20日からスタートしたドラマ『被写界深度』で主人公のひとりを演じています。原作は多くのファンを持つ名作漫画ですが、読みましたか?

平野宏周さん(以下、平野) 実は、オーディション当日まできちんと読んだことがなかったんですよ。漫画アプリの無料の試し読みページまでしか読んでいなくて……あまり前情報を入れないようにしていたんです。

――そうなんですね。普段からそうなんですか?

平野 はい。以前、原作がある作品のオーディションに行ったとき、前情報を入れすぎちゃって喋り方とかをキャラに寄せちゃって、自然にできなかった経験があるので、できるだけ前情報を入れたくなくて、試し読みだけの状態でオーディションに行ったんです。オーディションでも「原作は読んできた?」と聞かれて「試し読みのところまでしか読んでません」と答えてしまいました。

――大胆ですね……!

平野 まわりのみなさんは、やはりちゃんと読んできたみたいで、まずいぞ、と思いましたね。

――思いますよね、焦りますよね。

平野 オーディションは主人公のふたり、「早川秀一郎」と「紺野遼平」を決めるためのもので、僕は紺野役で受け、相手を変えて何度かお芝居をしたんですね。その間に待ち時間があったので、“やばい、やばい”と急いでスマホを出して買って、ひとまず読んで、また呼ばれて会場に戻って、「いま急いで買って読んでます!」と言ったら、驚かれました。

――その正直さ、いいですね(笑)。

平野 「ちなみにどこまで読んだの?」と聞かれたので、序盤の保健室のシーンのところです……と。

――正直ですね(笑)。

平野 オーディション会場では読む時間が本当になくて、がんばって最初の部分しか読めなかったので帰りの電車の中で上下巻全部読みました。読み終えてまず思ったのが、「僕は紺野というより早川っぽくないか? 僕に紺野ができるのかな?」ということでした。

――遅いですね(笑)! たしかに、平野さんのかわいらしい雰囲気は、どちらかというと早川寄りだと思いました。

平野 「僕は本当に紺野で合っているのかな?」と思いつつ、もう少し考えてみると、原作を読まずにオーディションを受けたりとか、紺野もそういうことをしそうだなと思ったんです。人目を気にしないというか、似ている部分もあるなと勝手ながら思いました。

――原作は、美しい男の子2人の、高校生から20代を追った物語ですが、綺麗事では済まない出来事や繊細な機微、2人のジリジリとした関係性に読み応えを感じるストーリーです。それで、オーディションに合格したわけですが……そのときどう思われましたか?

平野 原作が本当に素敵な作品だったので、何かの形で関われたらうれしいなと思っていたので、本当にうれしかったです。

 オーディション当日は僕の祖父の命日だったんですよ。午前中にお墓参りに行って、いつもの僕なら「今からオーディションだから、おじいちゃん頼みますよ」みたいなことを言うはずなんですけど、この日はなぜか「オーディションに行ってくるけど、何もしなくていいからね。僕は僕だから」と言っていたんです。

 そしたら原作で紺野も同じようなことを言っていて。帰りの電車の中で、「わー! なんかあるかも! 紺野、あるかも!」と思っていたんです。

――役柄との不思議なめぐり合わせがあったんですね!

平野 それもあり、受かったときは超ハッピーでした。

――運命的なものを感じてしまいますね。

平野 感じましたねえ。